この1年、Publickeyのどの記事がたくさん読まれたのか? 2019年総合ランキング発表
Publickeyでは記事を書くときに、ITエンジニアに興味を持ってもらえることをもっとも重視していますが、それに加えてできるだけ他には掲載されていない内容や切り口の記事になることも重視しています。
そんなPublickeyの記事の中で、2019年はどの記事がたくさん読まれたのか年間ランキングを発表しましょう。ほかのIT系メディアとは異なる、Publickeyならではのランキングになっているはずです。
1位から3位
1位 マイクロソフトが方針転換。Windows 7の2023年までの延長サポート、あらゆる企業が購入可能に
2位 [速報]マイクロソフト、「Windows Terminal」発表。タブ機能、コマンドプロンプト、PowerShell、SSHなどを統合、オープンソースで開発中。Microsoft Build 2019
3位 AWS、東京リージョン23日午後の大規模障害について詳細を報告。冷却システムにバグ、フェイルセーフに失敗、手動操作に切り替えるも反応せず
2019年にもっとも読まれた記事は、Windows 7の延長サポートがあらゆる企業で購入可能になったことを紹介した記事でした。
実は、このニュースそのものはいくつかの他媒体でPublickeyより先に紹介されていました。しかしそれらの記事はタイトルが分かりにくかったため、直感的に分かりやすいタイトルを付けたPublickeyの記事が幅広く拡散されたと考えています(特に「マイクロソフトが方針転換」と、まずはニュースが示すインパクトの大きさを付け加える文言を入れたことがよかったのではと思っています。いつも使える手ではありませんが)。
2位となったのは、5月に行われた米マイクロソフトのイベントBuild 2019での発表を報じたニュース。
日本では、AppleやGoogleが米国で行うスマートフォンなどの新製品発表をストリーミングで見て、日本の深夜にリアルタイムで記事化するコンシューマー向け媒体はいくつもありますが、マイクロソフトやGoogleやAWSやオラクルやVMwareやGitHubやHashiCorpやそのほか気になるベンダの海外での発表をリアルタイムで記事化するようなエンタープライズ向けの媒体は、Publickeyしかありません。
そのユニークなポジションを活かして書いた記事が2位となりました。
3位は、AWSの障害報告を紹介した記事。Publickeyとしては、クラウドの障害報告は重要な情報だと考えているため積極的に紹介しています。それが読者にも支持されている、ということがこの結果に示されていると考えています。
4位から10位
4位 Redis、MongoDB、Kafkaらが相次いで商用サービスを制限するライセンス変更。AWSなどクラウドベンダによる「オープンソースのいいとこ取り」に反発
5位 IT系上場企業の平均給与を業種別にみてみた 2019年版[前編] ~ ネットベンチャー、ゲーム、メディア系
6位 Rubyのまつもと氏、「気分を害することもある。だからどうか建設的であってほしい」
7位 クラウドは、データを完全削除したくてもハードディスクを物理破壊してくれない。どうする? AWSが説明
8位 IT系上場企業の平均給与を業種別にみてみた 2019年版[後編] ~ パッケージソフトウェア系、SI/システム開発系、クラウド/キャリア系企業
9位 [速報]Google、新サービス「Anthos」公開。Kubernetesをベースにオンプレミスやマルチクラウドを実現するプラットフォーム。Google Cloud Next '19
10位 [速報]Windows上でフル互換のLinuxシステムコールを実現する「WSL 2」発表、Dockerも実行可能に。Microsoft Build 2019
4位になった、オープンソースベンダが大手クラウドのいいとこ取りに反発していることを報じた記事は、Publickeyの独自性がうまく出せた記事の例ではないかなと思います。
ふだんからたくさんの情報収集をして、その大半は記事にならずに捨てられていくわけですが、ときどき捨ててきたいくつかの情報が記憶の中で結びついて、ひとつのストーリーになることがあります。この記事はそうして出来上がった記事ですね。
さて、年間ランキングなので10位以下の記事もさらに紹介していきましょう。
11位から20位
12位 SpotifyがミスによりKubernetesの本番クラスタを二度も削除。しかし顧客へのサービスにほとんど影響しなかったのはなぜか?
13位 ITエンジニアが投票した「ITエンジニア本大賞2019」ベスト10発表。カイゼン・ジャーニー/エンジニアリング組織論への招待/テスト駆動開発などランクイン
14位 [速報]マイクロソフト、RPA機能を搭載した「Power Automate」発表。ユーザーの操作を記録、再現実行で自動化。Ignite 2019
15位 Microsoft Azure、DNSの設定変更に失敗して全世界的にサービス障害。日本は十連休中だったのが不幸中の幸いか
16位 [速報]次期Micrsoft Edgeに「Internet Explorer mode」搭載。企業向けにIE11のレンダリングも提供。Microsoft Build 2019
18位 Salesforce.comがBIツールベンダTableauを買収。「これまでにないほどSalesforceの分析機能は強化される」
19位 Googleがコードレビューのガイドラインなど、ソフトウェアエンジニアリング実践のためのドキュメント「Google Engineering Practices Documentation」を公開
20位 「Windows Virtual Desktop」正式サービスとして提供開始、マイクロソフト純正のVDI環境。Azureの東西日本リージョンからも利用可能に
Publickeyでは毎日記事を書いて読者の皆様にお届けしています。その作業の中でいちばん時間がかかるのは、記事を書く時間よりも、どれを記事として取り上げるか、情報を集めて取捨選択するところです。
まず単純に、日々たくさんの情報に目を通すだけでも時間がかかります。おもにRSSリーダーのFeedlyに登録したWebサイトの(たぶん)千本以上のタイトルにざっと目を通し、キーパーソンとしてチェックしている人たちのツイッターなどの情報にも目を通した上で、記事になりそうな候補をいくつかに絞り、それぞれがどんな記事になるかを考え、必要によっては少し調べて、どれを記事にするか最終的に決めるのです。
どれを記事にするか決めてしまえば、あとは書くだけ。頭の中にはその時点で記事の骨格はできている、という感じです。たまに、書き始めてから「これはちゃんとした記事にならないな」ということになって、また取捨選択をやり直す、ということもありますが。
そういう意味で、8位に入った上場しているIT系企業の年収記事や、17位に入った無料で読めるITまんがの記事など毎年恒例の定番記事は、何を書くかはもう決まっていて、しかも毎年一定の読者の人気を得られる実績があるという点で、作る側としては(実は)少し息抜きができる記事でもあります。
そんなわけで2019年もご愛読ありがとうございました。
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