[速報]Nutanix、マルチクラウド対応のアプリケーション運用管理ツール「Calm」発表。Nutanixの管理画面からパブリッククラウドへもアプリケーションを導入可能
ハイパーコンバージドインフラストラクチャを提供するNutanixは、6月28日(日本時間6月29日早朝)に米ワシントンDCで開幕した同社の年次イベント「Nutanix .NEXT Conference 2017」で、アプリケーション管理ツール「Calm」を発表しました。
Calmは、Nutanixのインフラ管理ツールである「Prism」を拡張する機能として搭載されます。従来のPrismが、ハイパーコンバージドインフラやその上で稼働する仮想マシンなどのシステムを統合的に管理するものであるのに対し、Calmには2つの大きな特徴があります。
アプリケーションのデプロイだけでなくライフサイクル全体を管理
1つはCalmの管理対象がシステムインフラではなくアプリケーションであるという点です。
Calmはアプリケーションのマーケットプレイスを機能として含んでおり、管理者はこのマーケットプレイスの画面にならぶアプリケーションの一覧から、例えばHadoopを選択してクリックすると、自動的にアプリケーションがデプロイされます。
これによって、これまで複雑で手間の掛かっていた分散環境への業務アプリケーションなどの導入が、簡単な操作で済み、確実かつ短時間で完了します。
そのためにCalmはアプリケーションごとのコンフィグレーション情報を「Blue Print」と呼ばれる形式で保持しています。
さらにCalmは導入だけでなく、運用中のアプリケーションのスケールアップやスケールダウン、アップグレードやセキュリティパッチの適用、ロールバックなど、アプリケーションのライフタイム全体を管理することが可能になっています。
Calmのもう1つの特徴は、マルチクラウド対応であることです。前述のアプリケーションのライフタイム管理はNutanixのハイパーコンバージドインフラだけでなく、パブリッククラウドに対しても有効。
これによりNutanixの管理コンソール画面から離れることなく、パブリッククラウドに対するアプリケーションのデプロイ、運用やコストの管理などが可能になり、利用者はオンプレミスとパブリッククラウドがシームレスにつながったアプリケーションの運用管理を実現できることになります。
実際に基調講演のデモンストレーションでは、Google CloudへのHadoopアプリケーションのマイグレーションを行って見せています。
ハイブリッドクラウド対応に新たな差別化要因を見いだすNutanix
Nutanixがリードするハイパーコンバージドインフラ市場は、企業向けのシステムインフラ市場の中でもっとも成長している市場のひとつです。Nutanixは新興ベンダでありながらその市場のリーダーとして存在感を示してきました。
そして昨年、2016年9月にはNASDAQ市場へ上場を果たしています。
しかしアプライアンスとしてのハイパーコンバージドインフラは成熟しつつあります。それは大手企業などが安心して採用できる状況を生むという面では好材料です。しかし一方で、EMCを買収したDell EMCや、Nutanixとともに市場をリードしてきたSimpliVityを買収したHPEなど大手企業も参入してきており、インフラそのものの性能や機能で差別化できる余地が小さくなってきていることは明白です。
Nutanixがハイブリッドクラウドへの傾倒を明確に示し、Google Cloudとの提携発表、そしてNutanixの管理ツールからパブリッククラウドを含むマルチクラウドを一元管理できるこのCalmを発表する背景には、近づいてくる競合他社に対して自社のハイパーコンバージドインフラの新たな差別化要因をこの分野に見いだし、実現しようとしているからにほかならないでしょう。
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