マイクロソフト、NoSQL標準の策定を目指し、Cosmos DBで使われている「DocumentDB」をオープンソースで公開。PostgreSQLをベースに
マイクロソフトはNoSQLデータベースの実装として「DocumentDB」をオープンソースで公開したことを発表しました。
DocumentDBは、Microsoft Azure上のvCore-based Azure Cosmos DB for MongoDBとして提供されているNoSQLデータベースのオープンソース実装です(AWSもMongoDB互換の「Amazon DocumentDB」と呼ばれるサービスを提供していますが、別の実装です)(追記:当初、「Azure DocumentDB」のオープンソース実装と記述していましたが、間違いでしたので記述を改めました。お詫びして訂正します)。
Announcing DocumentDB, the open-source engine that powers vCore-based #AzureCosmosDB for #MongoDB! Built on #PostgreSQL, it offers interoperability, scalability, and transparency like never before.
— Azure Cosmos DB (@AzureCosmosDB) January 25, 2025
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DocumentDBはJSON形式の拡張版となるJSONデータをバイナリ形式でエンコードしたBSON(Binary JSON)をサポートし、文字列、整数、浮動小数点、配列、日付、オブジェクトなどのさまざまなデータを格納できます。
その上でこれらのデータセットに対して全文検索、地理空間クエリ、ベクトル検索などさまざまなクエリを可能にしています。
DocumentDBはPostgreSQLをベースに実装されており、PostgreSQLでBSON形式のデータをサポートするための拡張である「pg_documentdb_core」と、DocumentDBのAPIを提供する「pg_documentdb」の2つから構成されています。
NoSQLの標準策定を目指す第一歩
マイクロソフトはDocumentDBをオープンソースとして公開する理由として、NoSQLの標準策定を目指しているとしています。以下は、今回のオープンソース化を発表したブログ「DocumentDB: Open-Source Announcement - Microsoft Open Source Blog」からの引用です。
同社はもともとNoSQLはクラウドごとに相互運用性がないまま提供されてきたと指摘し、NoSQLデータベースの標準があることが望ましいと説明します。
NoSQL databases have historically provided cloud-specific solutions without a common standard for interoperability. This has led to a growing demand for an interoperable, portable, and fully supported production-ready local instance of a document data store. We also felt that it would be great to have a standard for NoSQL databases to provide more flexibility in both choosing and switching between NoSQL databases.
これまでNoSQLデータベースは相互運用性のための共通標準がないまま、クラウドごとに固有のソリューションが提供されてきました。そのため、相互運用性があり、ポータブルで、フル機能のドキュメントデータストアの本番用ローカルインスタンスに対する需要が高まっています。私たちはまた、NoSQLデータベースの標準があれば、NoSQLデータベースの選択と切り替えの両方において、より柔軟な対応が可能になると考えました。
そのNoSQLの標準を目指して、今回DocumentDBをオープンソース化したとのこと。
DocumentDB is the first implementation of the project’s more ambitious mission to create a standard for open-source document databases, much like the ANSI (American National Standards Institute) SQL standard for relational databases. The creation of a NoSQL standard will heighten the compatibility and interoperability of NoSQL engines in the future.
DocumentDBは、リレーショナルデータベースにおけるANSI(米国規格協会)SQL標準のように、オープンソースのドキュメントデータベースの標準を作るという、このプロジェクトのより野心的なミッションの最初の実装です。 NoSQL標準の策定は、将来的にNoSQLエンジンの互換性と相互運用性を高めることでしょう。
MongoDBは日本では存在感があるとはいえませんが、米国では人気の高いNoSQLデータベースであり、これを標準化の第一歩としたことは適切なものであると言えそうです。今後、こうしたNoSQLデータベースのAPI標準化に賛同するベンダが出てくるかどうかが注目されます。
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