メニーコアと大容量メモリに最適化したインメモリデータベース「劔(Tsurugi)」正式版リリース、ノーチラス・テクノロジーズが発表。サポートサービスも提供開始
ノーチラス・テクノロジーズ(以下、ノーチラス)は、メニーコア、大容量メモリといった最新のハードウェアに対して最適化されたインメモリデータベース「劔”Tsurugi”」(以下、劔)の正式版を公開したと発表しました(GitHubのリポジトリ)。
最新のハードウェアに最適化された劔
現在主流となっているリレーショナルデータベース製品の多くが、10年以上前のコンピュータハードウェアの主流であったシングルコアやデュアルコアなど少数のプロセッサコアと数百メガバイトから数ギガバイト程度のメモリ容量、そしてハードディスクによるストレージをベースに設計し開発されています。
そのため、多くの製品がメニーコアかつ大容量メモリを搭載した最新のハードウェア性能を十分に引き出せていないという技術的な課題を抱えています。
劔はこの課題に対応するために、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトとして開発されてきました。
2023年にオープンソースとしてソースコードの公開が開始されています。
参考:メニーコアに最適化した国産の高性能RDB「劔(Tsurugi)」、ソースコードの公開を開始
メニーコア、大容量メモリに最適化した劔は、ハードウエアの性能が向上するほどシステムの性能も高まる特性を有し、書き込み操作に強いリレーショナルデータベースとされています。
また、同時実行制御プロトコル(Concurrency Controlプロトコル)として、トランザクション処理用の「OCC」とバッチ処理用の「LTX」の両方をサポートしており、バッチ処理とショートトランザクション処理をそれぞれの一貫性を担保しつつ同時に実行可能で、しかも従来のリレーショナルデータベースと比較して圧倒的にバッチ処理のパフォーマンスが高いとされています。
対応するSQLの仕様は「ANSI 99」(一部ANSI 2003)。アプリケーションからの利用には、PostgreSQLでの接続、SQLを直接処理するJavaAPI、KVSを直接処理するJavaAPIが利用可能です。
ノーチラスがサポートサービスを提供開始
ノーチラスは劔の正式版リリースに合わせて、サポートサービスの提供を開始することも発表しました。
サポートサービスでは個別の問い合わせ窓口を設け、劔で開発や運用を行う際のシステムの設計段階からの問い合わせを受け付けます。
スタンダード・サポートとエンタープライズ・サポートの2種類を提供すると共に、オープンソース版には含まれていない、運用管理をサポートするツールとして、稼働中のサーバの状態やスレッド数などの情報を確認できる「Altimeter」と、リストアやバックアップなどを提供するWeb API「Belayer UI」が提供されます。
また、劔を用いたシステムの設計、PoC(概念検証)、運用設計や性能検証、性能改善などはプロフェッショナルサービスとして同社が個別に対応するとしています。
今後もSQLの拡張やマルチノード、マルチデータセンター対応など
正式版リリース後も劔の研究開発はNEDOの委託事業として続けられており、今後もデータベースとしての安定性や利用可能なSQLの拡張、性能向上、マルチノードやマルチデータセンター対応を含む高可用性の確保などを目指すとしています。
今年度(2024年度)中には、対応するSQLの拡張、可用性の拡張、Linux系OS対応プラットフォームの拡張などが予定されています。
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