クラウドからオンプレミスへ回帰した理由は? クラウドとの通信費用の高さや、クラウド移行ありきなどが課題。ノークリサーチが中堅中小企業を調査
調査会社のノークリサーチは、国内全業種の中堅・中小企業(年商500億円未満)および大企業(年商500億円以上)を一部含む700社を対象にした調査結果「2024年 中堅・中小企業のサーバ環境におけるクラウド移行とオンプレ回帰の実態」(pdf)を発表しました。
調査結果によると、以前はIaaSやホスティングを利用していたが、現在はオフィス内にサーバを戻した業務システムがある企業では、社内とクラウドの間の通信費用や通信品質を課題として挙げる企業が多いことが分かりました。
半数以上がIaaSやホスティングの導入あり
有効回答件数700社のうち、IaaS型のクラウドやホスティングを用いてサーバを導入したことのある企業は半数を超える55.6%でした。
どれだけクラウドやホスティングからオンプレミスへの回帰があるのかを示したものが、下記の2つのグラフです。
1つ目は、すでにオフィス内、すなわちオンプレミスに設置されているサーバが以前はどこにあったのかの調査結果です。6.4%がIaaSやホスティングからオンプレミスに回帰したことが示されています。他にも、PaaSやサーバレスからの回帰も示されています。
2つ目は、これからオフィス内、すなわちオンプレミスに導入予定のサーバが、今どこにあるのかの調査結果です。8.6%がIaaSやホスティングからオンプレミスに回帰することが示されています。他にも、PaaSやサーバレスからの回帰も示されています。
ノークリサーチはこれらについて「上記の結果が示すように、IaaS/ホスティングからオフィス内設置に移行するケースはこれまでも存在しており、今後もオフィス内設置の形態で導入されるサーバの1割弱はIaaS/ホスティングからの「オンプレ回帰」になると予想される」としています。
通信費用が高いこと、クラウドありきだったことなどが課題
そこで、以前はIaaSやホスティングを導入していたがオンプレに回帰した企業が、どのような課題を抱えているのかを示したのが下記のグラフです。
オンプレに回帰した企業の回答と、全体平均との差異が10ポイント以上である課題を、灰色のマーカーが示しています。
最も多いのが「社内とクラウド間の通信費用が高い」で、次が「業務要件よりもクラウド移行が優先している」つまりクラウド移行ありきであったこと、そして「社内とクラウド間の通信品質が低い」となっています。
ノークリサーチは「上記のグラフが示すように、IaaS/ホスティングからオフィス内設置に回帰した場合には業務要件よりもクラウド移行を優先してしまい、その結果として社内/クラウド間の通信品質や通信費用が問題となっているケースが多いことが確認できる。このようなネガティブなオンプレ回帰を生じさせないためにも、ベンダや販社/SIerとしてはクラウド移行が目的化しないように、ユーザ企業と共に『なぜ、クラウドに移行するのか?』の目的を明確にした上で『社内/クラウド間の通信はどれくらい発生するか?』を検証することが大切だ。」と指摘しています。
またこの調査結果について同社は、「ここではIaaS/ホスティングからオフィス内設置に回帰する予定のユーザ企業でのサーバ活用方針に着目しているが、調査レポートでは様々な観点から見たサーバ活用方針を分析している」としています。
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