マイクロソフトとOpenAIが15兆円をAI用のスーパーコンピュータに投資、Amazonは22兆円をデータセンターに投資へ。米報道
マイクロソフトとOpenAIは1000億ドル(1ドル150円換算で15兆円)を投資し、4年後の2028年に「Stargate」と呼ばれるAIのためのスーパーコンピュータを立ち上げると、相次いで米国で報道されています。
一方でAmazon.comはAI関連やデジタルサービスの需要の爆発的増加に対応するため、向こう15年で1500億ドル(1ドル150円換算で22兆5000億円)をデータセンターに投資すると報道されています。
マイクソフトとOpenAIが15兆円を投資する「Stargate」
ロイターの報道では、マイクロソフトとOpenAIが開発するスーパーコンピュータ「Stargate」は5段階に分けて開発される計画で、特に4段階目と5段階目の開発コストの大部分は、必要なAIチップの獲得に関連するものになるとのことです。
現在、AI向けチップ市場ではNVIDIAが圧倒的な存在感を示していますが、一方でマイクロソフトも昨年(2023年)に独自設計のAIチップ「Maia」を発表しています。
ロイターの報道によると、この「Stargate」プロジェクトでは複数のサプライヤーのチップを使用できるよう設計されるとのことなので、おそらくはNVIDIAのチップとMaiaのチップの両方に対応することになるのでしょう。
Amazon.comは22兆円をデータセンターに投資
一方でBloombergの報道では、Amazon.comの22兆5000億円のデータセンター投資はAIだけでなくデジタルサービス全般の需要増加に対応するものと説明されており、今後も同社が積極的にデータセンターへ投資することが示されています。
米アマゾン・ドット・コムは向こう15年で1500億ドル(約22兆7100億円)近くをデータセンターに投じる計画だ。クラウド市場で圧倒的な地位を占める同社は、予想される人工知能(AI)関連やその他のデジタルサービスに対する需要の爆発的増加に対応できる態勢を整えたい考え。
AIの時代にも規模の経済が働くのか?
マイクロソフトとAmazon.comはそれぞれAIに関する戦略が異なっており、報道された投資計画にもその違いが表れています。
マイクロソフトはマイクロソフト自身が「Copilotカンパニー」になると宣言し、同社がエンドユーザー向けのAIサービスを積極的に展開することで他社との差別化を図っています。自社で提供するAIサービスのために、AIにフォーカスしたスーパーコンピュータの構築を目指すわけです。
一方でAmazon.com/AWSは、さまざまな顧客が同社のクラウドの上でAI機能を含むさまざまなデジタルサービスを構築するためのプラットフォームの提供にフォーカスしています。そのため、AIだけでなく汎用のサーバやネットワーク機器も含むデータセンターの構築に投資するわけです。
いずれにせよ、両社ともAIブームによる爆発的な需要の増加に対応した積極的な投資で、より早く大きく成長しようとしています。
過去10年以上、クラウドは規模の経済が働くため、より早く大きく投資できるプレイヤーがより有利になると言われてきました。そしてAmazon.com/AWSやマイクロソフトはそのことを証明し続けてきました。
クラウドの時代に続くAIの時代においても規模の経済が働くとしたら、両社はさらにその強力な地位を固めていくことになるのかもしれません。
ちなみに日本国内では、さくらインターネットが昨年(2023年)に、3年間で130億円規模の投資をして(うち約半分は経済産業省による補助金)生成AI向けクラウドサービスを開始すると発表しています。
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