Google、PostgreSQL互換のAlloyDBにAI機能を組み込んだ「AlloyDB AI」正式版に。ローカルで実行できるソフトウェア版も提供
Google Cloudは、PostgreSQL互換のAlloyDBにAI機能を組み込んだ「AlloyDB AI」正式版を提供開始した。データベースのデータをリアルタイムにAIに反映できる高速なベクトル検索などが可能だ。
Google Cloudは、PostgreSQL互換のデータベース「AlloyDB」にAI機能を組み込んだ新機能「AlloyDB AI」が正式版となったことを発表しました。
AlloyDBはGoogle Cloudのマネージドサービスとして提供されますが、同時に、AlloyDBをローカル環境で実行可能なソフトウェア版の「AlloyDB Omni」でもAlloyDB AIが正式版となりました。
AlloyDB Omniは開発環境などでの利用は無料です。本番環境の利用では有料のサブスクリプション料金が設定されており、Google Cloudによるサポートが提供されます。
企業はAlloyDBの高速なトランザクション機能やデータ分析機能に加えて、データベースの更新内容を動的に反映するベクトルクエリ機能などを用いて最新データをリアルタイムに反映するAIアプリケーションの開発が容易になります。
AlloyDB:高性能かつミッションクリティカル向けのDB
AlloyDBは、Google Cloudが提供するPostgreSQL互換のデータベースサービスです。
Google Cloudは、PostgreSQLのマネージドサービス「Cloud SQL for PostgreSQL」を提供していますが、AlloDBはその上位版としてGoogleのクラウドインフラや機械学習の技術を積極的に投入し、より高性能かつミッションクリティカル向けのデータベースサービスとして位置付けられています。
AlloyDBはPostgreSQLとフル互換を実現しつつ、標準的なPostgreSQLと比較してトランザクション処理で4倍以上、分析クエリで最大100倍の高速化を実現。
メンテナンスも含めて99.99%の可用性SLA が設定されており、データベースのサイズや負荷状況に関わらず、ほとんどのデータベース障害を60秒以内に自動的に検出し、回復する機能を備えています。
さらに、ストレージの自動プロビジョニング、アダプティブオートバキュームなどの運用自動化機能によって、データベースの管理が容易になるとしています。
高速なベクトルクエリ、エンベディングの自動生成など
AlloyDB AIは、このAlloyDBにAI機能を搭載することで、データベースのデータを用いたAIアプリケーションを、SQL文などによって容易に開発可能にするものです。
主に以下の4つの機能を備えています。
PostgreSQL標準のpgvector互換の高速なベクトルクエリ
AlloyDB AIは標準的なPostgreSQLと比較して最大10倍高速にベクトルクエリを実行します。これによりテキストや画像などの複雑なデータ型の類似検索を高速に実行できます。
エンベディングの自動生成
データベース内のデータから自動的にエンベディングを生成することで、テキストや画像などのデータをさまざまなAIモデルを用いて簡単にベクトルエンベディングに変換できます。AlloyDBにエンベディングを保存するとSQLでクエリ可能です。
ローカルのモデルにもリモートのモデルにもアクセス可能
AlloyDBのローカルモデルとVertex AIにホストされているリモートモデルの両方にアクセスできます。AlloyDBに保存されたデータでモデルをトレーニングとファンチューニングし、Vertex AI上にエンドポイントとしてデプロイできます。
LangChainとの統合
LangChainの統合により、より正確で透明性が高く、信頼性の高いAIアプリケーションを簡単に構築できます。
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