シスコ、eBPF分野をリードするIsovalentを買収へ。クラウドネイティブ分野のネットワーキングなど強化

2024年1月16日

シスコシステムズは、eBPFの分野をリードしてきたIsovalentを買収することを先月(2023年12月)21日に発表しました(プレスリリース)。買収金額は非公開。

Isovalentはクラウドネイティブ分野において「eBPF」と呼ばれる技術を用い、サービス間の高速なネットワーキングを実現する「Cilium」や可観測性を実現する「Hubble」、脅威を検出する「Falco」など、多くの製品を開発している企業として急速に存在感を高めてきた企業です。

参考:Linuxカーネル内部をフックするeBPFを用いてコンテナ間通信を実現する「Cilium」、十分成熟したソフトウェアに到達したとして、CNCFの卒業プロジェクトに

Isovalentの買収により、シスコはクラウドネイティブ分野において有力なソフトウェア製品群を手にすることになります。

eBPFはLinuxカーネルの動作を動的に変更できる

eBPFとはextended Berkeley Packet Filterの略で、カーネルをプログラマブルにする仕組みです。現在ではほとんどのLinuxディストリビューションがeBPFをサポートしています。

参考:「eBPF」がクラウドネイティブを超強力にする。eBPFとは何か? 何ができて、どんな利点があるのか? Cloud Native Days Tokyo 2022基調講演から

eBPFに対応したアプリケーションは、ユーザー空間にありながら、必要に応じてそのプログラムを動的にカーネルにロードできます。ロードされたプログラムは、ネットワークパケットが到着したり、アプリケーションがシステムコールを呼び出したり、あるいはカーネルが特定のトレースポイントに到達した場合など、何らかのイベントを引き金として起動され、カーネルの内部動作を変更することや、カーネル内部の情報を取得することなどができます。

これによりLinuxカーネルの動作を動的に変更できることがeBPFの大きな特徴です。

Isovalentは、このeBPFを用いたソフトウェアによりクラウドネイティブに対応したネットワーキングや可観測性、セキュリティなどを実現する分野を切り開いてきた企業だと言ってよいでしょう。

シスコのセキュリティ&コラボレーション担当エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのJeetu Patel氏は、買収を発表したプレスリリースにおいて次のようにコメントしています。

Together with Isovalent, Cisco will build on the open source power of Cilium to create a truly unique multicloud security and networking capability to help customers simplify and accelerate their digital transformation journeys,

シスコはIsovalentと協力し、オープンソースであるCiliumを基盤にして、真にユニークなマルチクラウド対応のセキュリティおよびネットワーキング機能を構築し、顧客のデジタルトランスフォーメーションへの取り組みの簡素化と促進ができるように支援していきます。

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