AWS、Redisをフォークした「Valkey」を、同社サービスのElastiCacheとMemoryDBで採用すると明らかに
Amazon Web Servicesは、同社のマネージドサービスとして提供しているAmazon ElasticCacheとAmazon MemoryDBで、インメモリデータストアのRedisをフォークした「Valkey」を採用すると、同社のブログに投稿した記事「Why AWS Supports Valkey」で明らかにしました。
Why #AWS Supports #Valkey. https://t.co/PMXv0Zv8B4
— Werner Vogels (@Werner) April 5, 2024
Valkeyの採用について、上記のブログで次のように記されています。
AWS is committed to supporting open source Valkey for the long term. We are adding Valkey support to our ElastiCache and MemoryDB managed database services, which are built on open source Redis and are compatible with open source Redis versions 7.0 and earlier.
AWSはオープンソースのValkeyを長期的にサポートすることを約束します。私たちは、ElastiCacheとMemoryDBのマネージドデータベースサービスにValkeyサポートを追加します。これは、オープンソースのRedisを元に構築され、オープンソースのRedisバージョン7.0以前と互換性があります。
Redisが商用サービスを制限するライセンス変更を実施
Redisはオープンソースで開発されているインメモリデータストアの代表的な存在でした。先月(2024年3月)、Redis本体のライセンスをクラウドベンダによる商用サービスを制限するものに変更すると発表しました。
参考:Redis、クラウドベンダなどによる商用サービスを制限するライセンス変更を発表。今後はRedis社とのライセンス契約が必須に
これまでのRedisのライセンスは3条項BSDライセンスと呼ばれるオープンソースライセンスの1つでしたが、新しいライセンスはソースコードが公開されるものの商用利用などが制限される、いわゆるソースコードアベイラブルなライセンスとなります。
Redisは今回のライセンス変更に至った理由として、AWSを名指しこそしなかったものの、同社やコミュニティが開発し成功させてきたRedisの売り上げの大半が最大手のクラウドベンダによるものだったと説明していました。
このライセンス変更によって、AWSはRedisとライセンス契約をしない限り、今後登場する新バージョンのRedisをマネージドサービスとして提供することができなくなったのです。
RedisをフォークしたValkeyプロジェクトがスタート
Redisのライセンス変更に対して、Redisをフォークした「Valkey」の開発プロジェクトがLinux Foundation傘下で開始されることが発表されました。
このValkeyプロジェクトはAWS、Google Cloud、Oracle、Ericsson、Snap Incがサポートすると発表されていたため、AWSはElastiCacheとMemoryDBでRedisに代わりValkeyを採用するであろうと推測されていました。今回それが正式に発表されたことになります。
AWSの説明によると、4年前にRedisコミュニティがオープンガバナンスモデルに移行したときに、同社からは2人のプロジェクトメンテナーが参加しており、彼らはこのValkeyプロジェクトで貢献を継続させるとのことです。
AWSは2021年にElasticsearchをフォークした過去も
今回と似たようなことは2021年にも起きていました。Elasticsearchが商用サービスを制限するライセンス変更を行ったところ、AWSはElasticsearchをフォークし、オープンソースの「OpenSearch」を発表。Elasticsearchの代わりに同社のサービスに採用しました。
参考:AWS、ElasticsearchとKibanaのフォークによる「OpenSearch」プロジェクトを発表。Elasticとの溝は埋まらないまま
AWSはこの経験から多くのことを学んだとしています。今回のRedisをフォークしたValkeyプロジェクトもその学びを反映しつつ、同じパターンをなぞることになると思われます。
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