AWS、Redisをフォークした「Valkey」をAmazon ElastiCacheとAmazon MemoryDBで提供開始
Amazon Web Services(AWS)は、Redisをフォークしたインメモリデータベース「Valkey 7.2」をAmazon ElastiCacheとAmazon MemoryDBで提供を開始したことを明らかにしました。
Valkeyのフォーク元となったRedisはオープンソースとして開発されてきましたが、今年(2024年)3月、ライセンスをクラウドベンダなどによる商用サービスを制限するものに変更したことでオープンソースではなくなりました。
このライセンス変更を受けてAWS、Google Cloud、Oracleなどを始めとする複数の企業がLinux Foundation傘下でRedisをフォークし、オープンソースとして「Valkey」の開発を始めたのです。
そして9月にはGoogle CloudがValkeyのマネージドサービスをプレビュー公開し、AWSもマネージドサービスとして提供を開始しました。
参考:Google Cloud、Redisをフォークした「Valkey 7.2」のマネージドサービス「Memorystore for Valkey」プレビュー版を開始
Valkey版はRedisより安価に設定される
今回Valkeyがマネージドサービスとして提供されるAmazon ElastiCacheは、高速なメモリキャッシュとしてデータベースサーバの手前に設置することで、応答速度の高速化とデータベースへのアクセス負荷の軽減などを実現するサービスです。
以前からMemcachedとRedisが提供されており、今回そこにValkeyが加わります。
Amazon MemoryDBはその名称通りにインメモリデータベースをマネージドサービスとして提供するサービスです。これまでRedisが提供されていましたが、ここにValkeyが加わることになります。
AWSはAmazon ElastiCache、Amazon MemoryDBのいずれも、Valkeyでの利用料をRedisの利用料に対して安く設定しています。
具体的には、ElastiCache for ValkeyはRedis版と比較して20%安、ElastiCache Serverless for ValkeyはRedis版と比較して33%安、MemoryDB for ValkeyはRedis版と比較して30%安などとなっています。
これは今後メンテナンスが難しくなっていくRedis版からValkey版へと顧客を誘導する意図が含まれているのかもしれません。
今回採用されたValkey 7.2はRedisのコードからRedisの名称やブランドに関する部分をValkeyに変更したものであり、事実上同一のソフトウェアといっても差し支えありません。
そのため、現時点でRedisからValkeyへの移行は非常に安全かつ容易であるはずで、現在クラウド上でRedisを利用しているユーザーは早期にValkeyへの移行を検討するのがよいのではないでしょうか。
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Google CloudもValeyのプレビュー版を提供しています。
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