自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」が早くも進化、人間が作業のガイドラインなど情報提供、Slackでのやり取りもできるように
AIスタートアップのCognition AIは、自律型のAIソフトウェアエンジニア「Devin」の「June '24 Product Update」として新機能を発表しました。
Devinは人間が課題を与えると、自律的に情報を参照し、コーディングやデバッグ、デプロイを行い、システム構築を実現するAIソフトウェアエンジニアだと説明されています。
参考:自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」登場。Readmeを読んで環境構築、Print文を使ってデバッグなど
今回追加された新機能では、Devinに対してきめ細かな指示や情報提供が可能になりました。これによりDevinは今まで以上に的確な開発が行えるようになります。また、DevinとSlackでのやり取りなども可能になりました。
Devinが開発中のコードを直接編集可能に
Devinは自身の開発環境のためのマシン、コードエディタ、Webブラウザなどを備えています。
新機能では人間がこのDevinのマシンのファイルを開いて読み書きすることや、ターミナルでログインできるようになりました。
これにより、プロンプトで指示するよりも直接的にDevinが開発するソフトウェアに直接介入できるようになります。
DevinによるWebブラウザ操作にも人間が介入できるようになりました。
これは例えばDevinが、あるWebサイトにログインして情報を取得しようとする際に、Webサイト側で操作が人間によって行われているかどうかを判別するキャプチャで人間の操作が必要な場合などで利用されることが想定されています。
また、シークレットをDevinと共有できるようになりました。これによりシークレットを使ったAPIの呼び出しなどがDevinで可能になります。
WebブラウザのCookieをDevinと共有することも可能になったため、パスワードを入力することなくWebサイトへのログインなどもできるようになりました。
社内ルールなどの情報をDevinに提供
従業員が会社やチームに合流したときには、参照すべきドキュメントや資料はどこにあるか、開発時に使うべき社内ライブラリなどの社内ルールを説明することになるでしょう。
Devinの新機能として、Devinに対してもこうした社内情報やチームの情報を伝えるための「Knowledge」が用意されました。
Knowledgeを提供することで、Devinは社内環境などにおいてより高いパフォーマンスを発揮できるようになります。
Playbookで繰り返し作業のアドバイス
コードに対するユニットテストの追加やコードのマイグレーションといった、何度か似たような作業をDevinが繰り返し行う場合、Devinが知っておくと良いコンテキストや手順、目的、完了条件、するべきでないことなどのガイドライン情報を「Playbook」として与えることができるようになりました。
Playbookは平易な自然言語で記述でき、PlaybookによってDevinはより的確に作業できるようになります。
DevinユーザーのあいだでPlaybookを共有するためのギャラリーも用意されました。
Devinの開発元であるCognition AIは、Playbookには一般的なソフトウェア開発におけるベストプラクティスをDevinのために記述した上で、組織固有の情報やコンテキストをKnowledgeに記述し、組み合わせて利用することを勧めています。
SlackからDevinを呼び出し、やり取りが可能に
DevinをSlack経由で呼び出したり、やり取りすることが可能になりました。
下記はDevinに対して特定のWebサイトのスクレイピングをして結果を送ってくるようにSlackで依頼し、Devinの作業中に途中経過を報告させています。
Devinの開発環境をスナップショット
Devinの開発環境のスナップショットをとることもできるようになりました。
ソフトウェアのインストールされた状態などをそのまま保存できるため、Devinに似たような作業をさせる場合など、すぐに作業に取りかからせることができるようになります。
Devinはまだクローズドリリースの状態で、希望者はウェイトリストへの登録が必要となります。
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