自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」が早くも進化、人間が作業のガイドラインなど情報提供、Slackでのやり取りもできるように

2024年6月12日

AIスタートアップのCognition AIは、自律型のAIソフトウェアエンジニア「Devin」の「June '24 Product Update」として新機能を発表しました。

Devinは人間が課題を与えると、自律的に情報を参照し、コーディングやデバッグ、デプロイを行い、システム構築を実現するAIソフトウェアエンジニアだと説明されています。

参考:自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」登場。Readmeを読んで環境構築、Print文を使ってデバッグなど

今回追加された新機能では、Devinに対してきめ細かな指示や情報提供が可能になりました。これによりDevinは今まで以上に的確な開発が行えるようになります。また、DevinとSlackでのやり取りなども可能になりました。

Devinが開発中のコードを直接編集可能に

Devinは自身の開発環境のためのマシン、コードエディタ、Webブラウザなどを備えています。

新機能では人間がこのDevinのマシンのファイルを開いて読み書きすることや、ターミナルでログインできるようになりました。

これにより、プロンプトで指示するよりも直接的にDevinが開発するソフトウェアに直接介入できるようになります。

Devinのマシンのファイルを開いて読み書きできる

DevinによるWebブラウザ操作にも人間が介入できるようになりました。

これは例えばDevinが、あるWebサイトにログインして情報を取得しようとする際に、Webサイト側で操作が人間によって行われているかどうかを判別するキャプチャで人間の操作が必要な場合などで利用されることが想定されています。

DevinによるWebブラウザ操作にも人間が介入

また、シークレットをDevinと共有できるようになりました。これによりシークレットを使ったAPIの呼び出しなどがDevinで可能になります。

シークレットをDevinと共有できるように

WebブラウザのCookieをDevinと共有することも可能になったため、パスワードを入力することなくWebサイトへのログインなどもできるようになりました。

社内ルールなどの情報をDevinに提供

従業員が会社やチームに合流したときには、参照すべきドキュメントや資料はどこにあるか、開発時に使うべき社内ライブラリなどの社内ルールを説明することになるでしょう。

Devinの新機能として、Devinに対してもこうした社内情報やチームの情報を伝えるための「Knowledge」が用意されました。

Knowledgeを提供することで、Devinは社内環境などにおいてより高いパフォーマンスを発揮できるようになります。

Devinに対して社内情報やチームの情報を伝えるための「Knowledge」

Playbookで繰り返し作業のアドバイス

コードに対するユニットテストの追加やコードのマイグレーションといった、何度か似たような作業をDevinが繰り返し行う場合、Devinが知っておくと良いコンテキストや手順、目的、完了条件、するべきでないことなどのガイドライン情報を「Playbook」として与えることができるようになりました。

Playbookは平易な自然言語で記述でき、PlaybookによってDevinはより的確に作業できるようになります。

Devinが知っておくと良いコンテキストや手順、目的、完了条件、するべきでないことなどの情報を「Playbook」として与える

DevinユーザーのあいだでPlaybookを共有するためのギャラリーも用意されました。

Playbookを共有するためのギャラリー

Devinの開発元であるCognition AIは、Playbookには一般的なソフトウェア開発におけるベストプラクティスをDevinのために記述した上で、組織固有の情報やコンテキストをKnowledgeに記述し、組み合わせて利用することを勧めています。

SlackからDevinを呼び出し、やり取りが可能に

DevinをSlack経由で呼び出したり、やり取りすることが可能になりました。

下記はDevinに対して特定のWebサイトのスクレイピングをして結果を送ってくるようにSlackで依頼し、Devinの作業中に途中経過を報告させています。

DevinをSlack経由で呼び出し

Devinの開発環境をスナップショット

Devinの開発環境のスナップショットをとることもできるようになりました。

ソフトウェアのインストールされた状態などをそのまま保存できるため、Devinに似たような作業をさせる場合など、すぐに作業に取りかからせることができるようになります。

Devinはまだクローズドリリースの状態で、希望者はウェイトリストへの登録が必要となります。

あわせて読みたい

機械学習・AI 開発ツール




タグクラウド

クラウド
AWS / Azure / Google Cloud
クラウドネイティブ / サーバレス
クラウドのシェア / クラウドの障害

コンテナ型仮想化

プログラミング言語
JavaScript / Java / .NET
WebAssembly / Web標準
開発ツール / テスト・品質

アジャイル開発 / スクラム / DevOps

データベース / 機械学習・AI
RDB / NoSQL

ネットワーク / セキュリティ
HTTP / QUIC

OS / Windows / Linux / 仮想化
サーバ / ストレージ / ハードウェア

ITエンジニアの給与・年収 / 働き方

殿堂入り / おもしろ / 編集後記

全てのタグを見る

Blogger in Chief

photo of jniino

Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed

最新記事10本