Windows Subsystem for Linux(WSL)に新機能。使用メモリや仮想ディスクの自動縮退、LAN経由でWSLへ直接アクセス可能など

2023年9月20日

マイクロソフトは、Windows上でLinuxの機能を利用できるWindows Subsystem for Linux(WSL)の2023年9月版となる新バージョン「WSL 2.0.0」で、使用メモリをWindowsに返却して自動的に縮退する「autoMemoryReclaim」や仮想ハードディスクを自動的に縮退する「Sparse VHD」、従来のNATに代わる新しいネットワークモード「Mirrored」によるLANからWSLへの直接アクセスなどの新機能を搭載したことを明らかにしました

下記は今回の新機能を説明するブログの作者であるCraig Loewen氏のツイートです。

今回の新機能はいずれも実験的な実装となっており、wslconfigファイルの設定によって有効にすることが可能です。

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主な新機能を紹介しましょう。

Automatic memory reclaim
アイドルが5分以上続いた場合、WSLはLinuxが使用しているバッファキャッシュメモリをホストのWindowsに対して返却し始めます。これによりWSLの使用メモリが自動的に縮退するというものです。

Automatic disk space clean up
WSLはストレージとして仮想ハードディスク(VHD)を使用します。VHDはストレージの使用量に応じて自動的に容量が増加します。そしてこのVHDに対してAutomatic disk space clean upの設定「sparseVhd=true」を適用すると、VHDの使用量が減ると自動的にVHDのサイズ自体が縮退するようになります。

New Networking Mode – Mirrored
これまでWSLのネットワーク機能はNATを利用したものでした。新たに追加されるネットワークのモード「Mirrored」は次のように説明されています。

The goal of this mode is to mirror the network interfaces that you have on Windows into Linux, to add new networking features and improve compatibility.

このモードの目的は、Windowsで使っているネットワークインターフェイスをLinuxにミラーリングすることで、新しいネットワーク機能を追加し、互換性を向上させることである。

Windowsと同様のネットワーク機能をWSLに持ち込もうとしているように読めます。

Mirroredモードでは、具体的には次のような機能が追加されます。

  • IPv6サポート
  • Linux内部から127.0.0.1のローカルホストアドレスでWindowsのサーバにアクセス可能に
  • LANからWSLに直接接続が可能に
  • VPNに対する互換性の向上
  • マルチキャストのサポート

Windowsへ127.0.0.1でアクセス可能に

下記はYouTubeで公開されたデモ画面です。画面上はWindowsのPowerShellでPythonのHTTPサーバを9000番ポートで起動。

画面下のWSLのコマンドラインからは、そのWindows上のHTTPサーバに「127.0.0.1:9000」を指定してアクセスし、HTMLを取得しています。

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LAN上のデバイスからWSLへ直接アクセス可能に

またLANからWSLのLinuxへアクセス可能になりました。画面右下のスマートフォンからWSL上のWebアプリケーションにアクセスしています。

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その他、DNS Tunneling、Hyper-V Firewall、autoProxyなどの新機能も追加されます。詳細については「Windows Subsystem for Linux September 2023 update」をご覧ください。

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