オープンソースのWebAssemblyサーバレス基盤「Wasm Workers Server 1.0」正式リリース。RubyとPythonのWASMランタイムに対応し、Ruby/Pythonでの記述が可能に

2023年3月9日

VMware Wasm Labsは、Node.jsやDenoのようにWebAssemblyやJavaScriptで記述したWorkerをサーバサイドでイベントドリブンに実行できる「Wasm Workers Server」のバージョン1.0をリリースしました。

Wasm Workers Serverは、WebAssemblyランタイムであるWasmtimeの上に構築されているのが特徴。

Wasm Workers Serverのディレクトリに保存されたWorkerとなるファイルが、WebブラウザなどからのHTTPリクエストによって起動、実行され、結果を返す、といった処理が可能です。

Wasm Workers Servece 1.0でRubyとPythonに対応

これまでWorkerとなるファイルは、Rustで記述されWebAssemblyにコンパイルされたWebAssemblyモジュールのファイルか、JavaScriptで記述されたファイルに限られていました。

WorkerとしてWebAssemblyに対応しているのは、Wasm Workers ServerがWebAssemblyランタイムのWasmtimeを基盤としていることから当然と言えます。

JavaScriptが実行可能なのは、Wasm Workers ServerにWebAssemblyによるJavaScriptランタイムであるQuickJSが組み込まれているからです。QuickJSがJavaScriptファイルを読み込んで実行します。

そして今回のWasm Services Worker 1.0では、この2つに加えてRubyとPythonで記述されたスクリプトもWorkerとして実行可能になりました。

これはRubyとPythonをそれぞれWebAssembly上で実行可能にするWebAssemblyランタイムを利用することで実現されました。現時点ではVMware Labsが独自にビルドしたランゲージランタイムが利用されます

ファイルベースのルーティング機能を搭載

Wasm Workers Serviceの具体的な動きを見てみましょう。以下はデモ動画「Python and Ruby support in Wasm Workers Server v1.0.0」からの抜粋です。

Rubyで「Hello from Ruby」と返すシンプルなWorkerファイルを記述し、Wasm Workers Serverのディレクトリに「worker.rb」というファイル名で保存します。

fig

Wasm Workers Serviceはファイルベースのルーティング機能を備えているため、ファイル名によって自動的にこのWorkerのエンドポイントが決まります。

ローカルでアクセスする場合、Webブラウザから「127.0.0.1:8080/worker」へアクセスすることで、このworker.rbにアクセスでき、実行されて「Hello from Ruby」が表示されるわけです。

fig

Wasm Workers Service 1.0ではダイナミックルーティング機能も備わりました。今後はさらに新たなプログラミング言語への対応なども追加すると説明されています。

このようにWasm Workers Serviceは、WebAssemblyのおかげでWindows、Linux、macOSをはじめとする多くのOSに対応し、ローカルマシンやクラウド、コンテナ環境などを含むほどんな環境でも簡単にインストールして実行でき、マルチランゲージ対応に対応するシンプルなサーバレス基盤となっています。

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Junichi Niino(jniino)
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