Google、AWS Nitro対抗の独自開発したクラウド基盤システム「Google Titanium」投入を発表
Google Cloudは、同社専用に開発したカスタムチップやソフトウェアなどにより構成されるクラウド基盤システム「Titanium」の投入を、先日開催されたGoogle Cloud Next '23で発表しています。
Titaniumは、Googleが独自に開発したカスタムチップとソフトウェアから構成されたシステムです。
クラウドの基盤を構成するホスト上では、セキュリティを保証する処理、仮想化ハイパーバイザの処理、ネットワークやストレージへのアクセスや暗号化などを含むI/Oの処理などが行われます。
Titaniumを用いてクラウド基盤を構成するホストからこれらの処理をオフロードすることで、サーバの能力をより多くユーザーインスタンスに振り分けることが可能になり、全体としてクラウドの処理能力の向上と効率化を実現します。
AWSやAzureはすでに先行
ホストから処理をオフロードすることで、より効率的でセキュアかつ高性能なクラウド基盤を提供する仕組みは、AWSがNitro Systemsとして10年以上前から導入しており、昨年末には最新版のカスタムチップ「AWS Nitro v5」も発表しています。
参考:[速報]AWS、クラウド基盤用のカスタムチップ「AWS Nitro v5」を発表。パケット処理能力など向上。AWS re:Invent 2022
マイクロソフトも今年(2023年)7月に、専用SoCを用いた「Azure Boost」をプレビュー公開しています。
参考:マイクロソフト「Azure Boost」発表。AWS Nitroのように専用SoCへ仮想化処理などをオフロード、より高性能なクラウド基盤提供へ
GoogleのTitanium投入の発表は、これらに続くものといえます。
スケールアウト可能な点が優れていると
そのうえでGoogleは、Titaniumが優れている点として、スケールアウト可能になっていると説明します。
下記はそれを示した図です。ホストから専用ハードウェアでオフロードするだけでなく、ホストの外でさらにその能力をスケールアウト可能にしているのです。
こうすることでより高いI/O性能を持たせることが可能になり、高性能なブロックストレージサービスのGoogle Cloud Hyperdiskの提供に結びついたとしています。
参考:Google Cloud、動的にブロックストレージのIOPSとスループット性能をそれぞれ設定できる「Hyperdisk」など発表
Googleによると、Titanium の要素技術は数年前から投入を開始しており、上記のような最新技術については第三世代のCompute Engineで利用可能になっているとのこと。
そして将来的にはクラウドインフラ全体に展開されていくとしています。
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