Google Analytics 4移行対策、Publickeyの場合。Simple AnalyticsとRanklet4を導入し、GA4も使うことに
Google AnalyticsはPublickeyのようなブログに限らず、個人や組織の公式サイトやECサイト、そしてWebアプリケーションなど、さまざまなWebサイトで使われているアクセス分析ツールのデファクトスタンダードといえます。
そのGoogle Analyticsが今月(2023年7月)から、大幅に機能変更が行われた新バージョン「Google Analytics 4」(以下、GA4)に移行し、これまでのGoogle Analytics(通称UA:Universal Analytics)は廃止されました。
UAも、新しくなったGA4も、無料で利用できる大変ありがたいツールであり、こうした有用なツールを無料提供しているGoogleには日頃から感謝しています。
ただ、これまでのUAはWebサイトのページビューや訪問者数などを中心としたオーソドックスなアクセス解析の指標を分かりやすく表示してくれていましたが、GA4ではWebサイトとアプリケーションの両方に対応するというコンセプトで、イベントと呼ばれる指標を中心に表示するようになりました。
このことで、Webサイト運営にフォーカスしている私にとっては相当に分かりにくいツールとなってしまいました。
さらに、UAではほぼリアルタイムにページビューの集計が表示されていましたが、GA4では少なくとも数時間は待たないと信頼できる集計結果が見られなくなってしまうという仕様変更も行われました。
こうした変更が行われたことで、GA4以外によいアクセス解析ツールはないかと、4月頃から新たな選択肢を検討し始めました。
その結果、現時点ではGA4の利用を継続しつつ、有料のSimple Analyticsも採用することにしています。
ということで、この記事ではPublickeyにおけるアクセス解析ツールの検討の過程や、Simple Analyticsを採用するに至った経緯について紹介します。
おそらくWebサイトの運営をしている方々はGA4移行時に似たような悩みを抱えたのではないかと思うので、少しでも参考になれば幸いです。
何のためにアクセス解析をしていたのか
まずPublickeyでは何のためにアクセス解析を行っているのかを明らかにしておきましょう。
Publickeyではバナーとタイアップ広告が売り上げの2本柱です。バナーは月間で35万インプレッション、タイアップは掲載から1カ月で1500PV以上を目安としてお伝えしています。
そのため、この数値を下回らないように毎日ページビューを注意深く見て、その日の記事がどれくらい読まれているか、公開したタイアップ記事のページビューが順調かどうかを朝、昼、晩と確認し、進捗を管理していました。
ページビューからは読者がどんな技術やキーワードに興味を持っているかも分かり、今後どんな記事を作成していくかの参考にもなります。
それ以外にも、月初めには前月を振り返って記事のランキングを紹介していました。また、タイアップ広告を掲載してから1カ月後にお客様にタイアップ記事のページビューの報告をしていましたので、アクセス解析によるページビューの計測が過去1カ月以上遡ってできる必要がありました。
つまりPublickeyにとって、ページビューが見やすいこと、ほぼリアルタイムにページビューが集計されること、1カ月以上遡ってアクセス解析が出来ること、などがアクセス解析ツールに求める主な機能です。
前述のようにGA4では、実際には翌日にならないとその日の正確なページビューが分からない、などの仕様変更がありました。これが朝昼晩とページビューをチェックしていた私にとって致命的な変更となりました。
CloudflareのWeb Analyticsを試す
まずは無料で利用可能なアクセス解析ツールのなかで、Publickeyの目的に合致しそうなサービスを探しました。
いくつかの候補の中から実際に使い始めたのは、Cloudflareの「Web Analytics」です。
Web Analyticsは「アクセス数」「ページの表示数」「ページロード時間」の3つの数値をほぼリアルタイムに表示、集計してくれるアクセス解析ツールです。
導入も容易で、下記の画面のように操作もシンプルで使いやすいものでした。
これが無料で使えるのは大変ありがたいです。Web Analyticsが計測するページビューの数値は、Google Analyticsの数値とそれほど相違がないことも確認しました。
欠点としては、過去30日分しか計測できない点と、特定の記事のページビューを計測することは可能であるけれども操作に手間がかかる点。
また、数日おきになぜか管理画面から勝手にログアウトされてしまい、そのたびにいちいちログインしないといけない仕様のせいで使い勝手がいまひとつな点などでした。
Simple Analyticsは必要な機能がほぼ揃っていた
もう1つ試したアクセス解析ツールが「Simple Analytics」です。
こちらは有料のアクセス解析ツールで、EU領域内でホストされており、クッキーを使わないなど、プライバシーファーストなGoogle Analyticsの代替だとうたっています。
ただし機能的にはUAと比べてややシンプルで、この画面にあるようにビジター数、ページビュー、ユーザーの閲覧時間、現在の閲覧数などが参照できます。
その上で、過去1年以上に遡ってアクセス解析を参照できるのでPublickeyにとっての実用性も十分です。
私がUAで使っていた機能の中でSimple Analyticsに欠けていた機能は、データのエキスポート機能です。Simple Analyticsのエキスポート機能はWebサイト全体のみで、例えば特定のページのみ絞り込んだアクセス履歴をエキスポートする、といった細かなことができません。
とはいえSimple AnalyticsによってほぼPublickeyの日常的なアクセス解析はほとんどまかなえそうです。
ちなみに月間40万PV前後のPublickeyでSimple Analyticsを使う場合、月ごとに支払う場合の料金は月間59ドル、日本円で約8000円です。
無料のアクセス解析ツールと比べるとかなり高いと感じますが、それでも有料のアクセス解析ツールの中では安い方ですし、日常的な仕事の道具だと思えば適切な金額です。
Simple Analyticsで一本化できそうだと思ったが
そこで費用はかかるものの、アクセス解析ツールをSimple Analyticsに一本化できそうだというところまできました。
しかし実はGA4の利用を止めることができない理由があったことにあとから気がつきます。その理由はPublickeyで利用していたランキングの自動生成サービスにありました。
ランキングの自動生成機能がGA4に依存していた
Publickeyの画面右には「人気記事ランキング(過去7日間)」というコーナーがあります。
この人気記事ランキングは「Ranklet」という外部サービスを使っているのですが、Rankletはランキングの生成にGoogle Analyticsを使っています(Rankletに対してPublickeyのGoogle Analyticsへのアクセスを許可しています)。
そしてUAからGA4への移行に伴って、Rankletも「Ranklet4」へとバージョンアップすることとなり、Ranklet4はGA4をランキングの生成に使うことになります。
つまりRanklet4を使うのであれば、Publickeyのアクセス解析ツールとしてGA4の使用を止めるわけには行かないのです。
私の知る範囲では、自動ランキング作成サービスとしてRanklet4のように手軽かつ柔軟なカスタマイズが容易で、しかも安価なサービスはありません(Ranklet4は基本無料です)。
また、Simple Analyticsをベースにしたランキング作成サービスもなさそうです(APIを使って自作することも検討しましたが、私のプログラミング能力では短期間では難しいと考えています)。
そのためPublickeyに(Rankletに引き続き)Ranklet4を導入することは即断でした。必然的にGA4を利用することも決まりました。
結論、Simple AnalyticsとGA4を両方使うことに
結局、現時点での結論は、メインのアクセス解析ツールとしてはSimple Analyticsを使って日常的にアクセス状況を把握し、GA4はRanklet4のために使うけれども滅多に参照しない、ということになりました。
ただしGA4を使うのであれば、無料のCloudflare Web Analyticsを日常的なページビューの把握に使い、過去30日以上のアクセスを参照したいときにはGA4を操作してレポートを出力する、という選択肢も十分にあると思っています。なによりこの組み合わせなら無料で使い続けられる点が魅力です。
ひとまず現在は使い勝手の良さもあってSimple Analyticsをメインに使っていますが、後者の使い方も試しつつ試行錯誤はしばらく続けてみようと考えています。
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