マイクロソフト「Dev Box」正式リリース。開発環境を丸ごとクラウドPC化して提供。開発環境をそのままアーカイブ保存など
マイクロソフトは開発環境をクラウドPCとして丸ごと仮想環境で用意し、デスクトップ仮想化経由で利用できる「Dev Box」の正式リリースを発表しました。
最近のアプリケーションの開発環境は、コードエディタおよび文法チェックやフォーマッタなどの拡張機能、ソースコード管理ツールとの連携、ビルドツールや自動テスト環境などをはじめとするさまざまなツールによって構成されています。
そしてこれらのツールチェーンを適切に稼働するように設定するだけでもある程度の専門的な知識が必要で、手間のかかる作業になっています。
Dev Boxはこうした開発環境やツールチェーンを、あらかじめ整備された仮想マシンとして用意することで、開発者はすぐに適切な開発環境を立ち上げて開発にフォーカスすることを実現するものです。
Dev Boxの仮想マシンはWindows 365上で構築されるクラウドPCと同じ仕組みを用いてデスクトップ仮想化の仮想マシンが用意されるため、ユーザーとなる開発者はデスクトップ仮想化のクライアントツールやWebブラウザ経由でリモートデスクトップとして利用できます。
GitHub Codespacesとの違いは?
ローカルマシンに依存せずに開発環境を実現するサービスとしては、Webブラウザから利用できるGitHub Codespacesなどが存在します。
参考:[速報]GitHub Codespacesが全ユーザーに無料提供へ、毎月60時間分。JetBrainsとJupyterLabもIDEとして選択可能に
GitHub CodespacesなどのWebブラウザを用いる開発ツールは、開発ツールの選択肢に制約があります。
一方でDev Boxは仮想化されたPCであるクラウドPCを利用するため、基本的にWindowsで実行可能なあらゆる開発ツールが利用できる柔軟性を備えています。
プロセッサの能力やメモリ容量、ストレージの速度や容量なども豊富な選択肢の中から選べるため、大規模なビルドに対して強力な仮想マシンを用意することも可能です。
また、特定のバージョンの開発ツールやライブラリ、ソースコードなどに依存した開発環境を、将来なにかあったときのためにそのままアーカイブして保存しておくことも可能です。
複数のプロジェクトに関わる開発者であれば、プロジェクトごとに適切な開発環境を使い分けることも容易になります。
さらにクラウドPCはMicrosoft Intuneで管理されるため、Windows Updateによる最新のアップデートが保たれ、マシンの状態も把握可能。仮想マシンの起動を日時によって制限するなどきめ細かな設定が可能で、組織全体でセキュアな開発環境が構築できるとされています。
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