AWSの知識を学習済みの「Amazon Q」は、AWSのシステム構築にどう役立つのか? AWS re:Invent 2023
Amazon Web Services(AWS)が開催中のイベント「AWS re:Invent 2023」の基調講演で発表された新サービスの中でも、ビジネス向けの生成AI「Amazon Q」は最大の目玉でした。
記事「[速報]AWS、Copilot対抗となる「Amazon Q」発表。生成AIによるシステム開発支援や業務支援など、多様なAIサービスを提供。AWS re:Invent 2023」で紹介したように、Amazon QはAWS上でのシステム開発支援やコーディング支援だけでなく、業務知識を学習させたうえでの業務支援やデータ分析支援など、さまざまな機能を備えています。
特に、同社CEO Adam Selipsky氏が「Amazon Qに17年に及ぶAWSの知識を学習させた」と紹介したように、AWSに関する知識を備えている点は競合するマイクロソフトのCopilotやGoogleのDuet AIに対する差別化要因の1つでしょう。
具体的にAmazon Qがどのようにシステム開発などの支援を行うのか、基調講演の内容とYouTubeで公開されたデモ動画などから、現時点で分かっている内容をまとめました。
Amazon Qによるシステム構築の支援
「Amazon QはAWSのシステムを構築する人のためのエキスパートアシスタントだ。我々はAmazon Qに、17年に及ぶAWSの知識を学習させた。これは、考え、計画し、AWS上でアプリケーションを運用する方法を一変させる。
Amazon Qは、AWSマネジメントコンソール、Code Whisperer対応のIDE、Slackのようなチャットルームなどのあなたが作業する場所で利用可能になる。
Amazon QとチャットしてAWSの機能を探索したり、知らない技術を学んだり、アーキテクチャのパターンやベストプラクティス、実装などのソリューションを教えてもらうことなどができる」(Adam Selipsky CEO)
デモ動画によると、AWSマネジメントコンソールの右側にAmazon Qのペインが表示され、ここでAmazon Qに対するプロンプトを入力可能です。
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Amazon Qのペインの部分を拡大表示。
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例えば、「How do I build a web app on AWS? What are my options?」(AWS上でWebアプリを作るには。どんな方法がある?)と質問すると、AmplifyやLambdaといったAWSのサービスを用いた答えが返ってきます。
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さらにプロンプトで、「大量のトラフィックを処理しなくてよい」といった要件を示して、適切なアーキテクチャを提案するように要求すると、より具体的な構築方法が提案されると説明されています。
Amazon Qによる自動トラブルシュート
AWS Lambdaのコンソールでエラーが表示されたときには、右上の「Troubleshoot with Amazon Q」ボタンをクリック。
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Amazon Qが自動的にエラーの内容を分析し、解決方法を提案してくれます。
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また、Amazon Qに「ゲーム用途で最高性能のエンコーディングが実行できるEC2のインスタンスのタイプは?」などと質問すると、適切なタイプを教えてくれるなど、最適なシステム構成についても教えてくれます。
Amazon Qでコード生成
コードエディタでもAmazon Qが利用可能。下記では画面左端の「Amazon Q」アイコンをクリックすることで、左半分がAmazon Qとチャットするペインとなります。
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このペインでAmazon Qに対してプロンプトでコードの解説、コードの生成、テストの生成などを指示できます。
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