マイクロソフト、「AWS Nitro」対抗のクラウド基盤用プロセッサを自社開発か、DPUベンダのFungible買収を発表
マイクロソフトはデータセンター基盤向けプロセッサDPU(Data Processing Unit)開発ベンダのFungibleを買収したと1月9日付けで発表しました。
FungibleのDPUは、ストレージやネットワークへのアクセス処理などを高速に行う機能を備えています。
クラウドを構成するサーバにこのDPUを組み込むことで、サーバはストレージやネットワークに関わる処理をDPUにオフロードできます。
これによりサーバの能力のほぼ全てをユーザーのワークロード処理に割くことが出来るためサーバの利用効率が向上すると同時に、データセンター内において高速で高効率なストレージやネットワークの実現を可能にするのです。
Azure Core担当バイスプレジデントのGirish Bablani氏はこの買収発表の中で、買収後のFungibleチームが同社のデータセンター基盤のエンジニアリングチームに参加すると表明しており、DPUによるネットワークやハードウェアソリューションの進歩によるデータセンターの強化に注力していくと説明しています。
クラウドにおいて専用チップの採用が広まる
AWSは、遅くとも今から10年前の2013年にはクラウド基盤のためにサーバからネットワーク機能などのオフロードを行う「Nitro System」を開発しており、2015年にASICチップベンダのAnnapurna labsを買収して自社で専用のチップの開発を行っています。
そして最新版は「Nitro v5」であることを昨年(2022年)11月のイベント「AWS re:Invent 2022」で明らかにしています。
参考:Amazon EC2の最新基盤として「VMware Cloud on AWS」や「EC2ベアメタル」の実現にもつながったAWSの「Nitro System」とは?
Google Cloudもインテルと共同開発した「Infrastructure Processing Unit(IPU)」の採用を2022年10月に発表しており、VMwareも2022年8月に発表したvSphere 8でネットワーク処理をSmartNICへオフロードする機能を発表するなど、クラウド専用チップを採用する仕組みが広がってきています。
今回のマイクロソフトによるFungibleの買収は、こうした流れの中でマイクロソフト自身がAWS Nitroのようなクラウド専用チップの開発に取り組み、Microsoft Azureのさらなる強化を取り込む姿勢を明確に示したものだと言えるでしょう。
参考:VMwareが「vSphere 8」と「vSAN 8」を発表。SmartNICへ処理をオフロード、SSDに最適化したアーキテクチャで高速化など
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— Intel News (@intelnews) October 11, 2022
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