グローバルのクラウドインフラ市場、市場の成長率が鈍化する中でAWSがシェア30%超を維持、AzureとGoogle Cloudは堅調。2022年第4四半期、Synergy ResearchとCanalysの調査結果
調査会社のSynergy Research GroupとCanalysは、2022年第4四半期時点のグローバルにおけるクラウドインフラのシェアをそれぞれ発表しました(Synergy Research Group、Canalys)。
Canalysによると、この1年間でクラウドインフラ市場の成長率は鈍化しており、2022年第1四半期における過去1年の成長率が34%だったのに対し、2022年第4四半期は23%と10ポイント以上下落したとしています。
これはインフレに後押しされたクラウドコストの上昇によって、顧客企業が支出の最適化を迫られているためだとCanalysは分析しており、2023年の世界のクラウドインフラサービス支出は、2022年の29%増から23%増へと鈍化するとCanalysは予測しています。
AWSが30%超を維持、AzureとGoogleは手堅く上昇
そうした中で主要なクラウドベンダのシェアを見てみましょう。
下記はSynergy Research Groupの2022年第4四半期のシェアを示したグラフです。AWSが32%から33%で変わらずトップを維持。マイクロソフトは順調にシェアを伸ばし21%、Googleも10%に迫ろうとしています。
下記は同じくSynergy Research Groupの3カ月前となる第3四半期のグラフ。おおむねシェアに変化はないように見えます。
一方のCanalysによる2022年第4四半期のシェアの調査結果は、AWSが32%、Microsoft Azureが23%、Google Cloudが10%でした。
これも3カ月前の2022年第3四半期のグラフと比較してみると、Microsoft Azure、Google Cloudがそれぞれ1ポイントずつシェアを伸ばしていることが分かります。
生成的AIの登場はクラウド市場のシェア争いに影響
現在、IT業界で大きな話題となっているのがChatGPTをはじめとするAIによるチャットBotや画像を生成するAIなどの生成的AIです。
この生成的AIにおいてはマイクロソフトがOpenAIとの協業によりMicrosoft AzureでChatGPTなどの提供を開始するとしており、一方でGoogleは同社が開発した大規模言語もであるBardやその基盤となるLaMDAのAPIの試用を開始すると発表しています。
参考:マイクロソフト、GPT-3.5やDALL・E 2のAIモデルを含む「Azure OpenAI Service」正式に提供開始。まもなくAzure上で学習させたChatGPTなども実行可能に 参考:Google、対話AI「Bard」の基盤となる「LaMDA」のAPIを来月、開発者向けに試用開始すると明らかに
こうしたAIのワークロードは大規模なものとされています。その普及によって、今後のクラウド市場におけるシェア争いにも影響を与えそうです。
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