Armが米NASDAQ市場に上場。NVIDIAへの売却断念を経て、約9兆6000億円と今年最大規模に
ソフトバンク傘下の半導体開発大手として知られる英Armが9月14日、米国のNASDAQ証券取引所に上場しました。
売り出し価格は51ドルで14日の終値は約64ドル、時価総額は約652億ドル、日本円で約9兆6000億円と、今年最大の規模の上場となりました。
下記は14日に行われたオープニングベルのセレモニーの様子です。
クラウドやAIなど対応分野を広げるArm
Armはモバイルデバイスや組み込み機器など低消費電力向けのプロセッサの命令セットなどのテクノロジーをライセンスする企業として知られてきました。
Armプロセッサはスマートフォンなどに広く使われていることから、世界で最も数多く使われているプロセッサを作っている会社だといってよいでしょう。
最近ではアップルがAppleシリコンでArmを採用してデスクトップPCの分野でも使われ始めただけでなく、AWSがArmベースのプロセッサである「Graviton」プロセッサを開発して自社クラウドに採用することでクラウドにおけるサーバ用とでも使われ始めています。
さらに自動運転のためのプロセッサとしても採用されるなど、AIの分野でも存在感を高めつつあるなど、Armプロセッサは単なる低消費電力向けの組み込み用プロセッサという位置づけから大きく飛躍しつつあるといえます。
NVIDIAへの売却を断念しての上場
Armの親会社であるソフトバンクは一時期ArmをGPUベンダ大手のNVIDIAに売却しようとしましたが、英国など関係主要国の規制などの事情によって売却は断念され、単独のプロセッサベンダとして上場することとなりました。
今後AIの普及によってプロセッサは従来の汎用プロセッサだけでなくNVIDIAのGPUのような目的特化型のプロセッサなどの能力を組み合わせて利用していく時代に入っていくと見られています。
そうした中で、ArmはインテルやAMD、NVIDIAなどの競合に対して戦っていくことになるわけです。
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