WebAssemblyでクラウドネイティブを実現するクラウドサービス「Fermyon Cloud」がオープンベータで登場
WebAssemblyによるクラウドネイティブなアプリケーションの実現を目指すFermyonは、新たなクラウドサービス「Fermyon Cloud」のオープンベータを発表しました。
Today marks the launch of Fermyon Cloud.https://t.co/FYPXyk8fUI#CloudNativeNA #KubeCon #CloudNativeCon #CloudNativeWasm #WasmDay
— Fermyon (@fermyontech) October 24, 2022
FermyonはWebAssemblyに特化したスタートアップです。今年(2022年)3月に、WebAssemblyを用いたイベントドリブンなWebアプリケーションやマイクロサービスアーキテクチャのアプリケーションを実現するためのSpinフレームワークをリリースしました。
Spinフレームワークを用いると、RustやGo、Python、Ruby、AssemblyScript、Grain、C/C++などの言語でHTTPリクエストに対応したインターフェイスを備えたサービスを記述し、WebAssemblyにコンパイルし、イベントドリブンに実行可能な実行環境などを構築できます。
Spinを用いたアプリケーションのためのプラットフォームとして、SpinやSpin CLI、バージョン管理、Nomadスケジューラ、全体の管理コンソール画面などを備えた一連のソフトウェア群である「Fermyon Platform」も同社はリリースしています。
今回オープンベータとなった「Fermyon Cloud」は、このFermyon Platformを同社がクラウド上でマネージドサービスとして提供するものです。
Fermyon Cloudにより、Spinを用いたWebAssemblyによるアプリケーションの開発環境や実行環境を、ユーザーは手間なくすぐに使えるようになります。
クラウドネイティブにおけるWebAssembly利用の最先端
現在、クラウドネイティブなアプリケーションの開発にはDockerコンテナを用いることが普通ですが、Dockerコンテナの代わりにWebAssemblyを用いることに注目が集まろうとしています。
WebAssemblyはコンパイル済みのバイナリを実行するため、Dockerコンテナと同様かそれ以上に迅速な起動と実行が期待でき、アプリケーションごとに空間がきちんと分離されるセキュアな構造も備え、さらに生成されたバイナリはクロスプラットフォームで実行可能という利点もあります。様々なプログラミング言語にも対応しています。
これをDockerコンテナのようにサービスの器として利用することは自然なアイデアでしょう。
そしてすでにこのアイデアを実現する技術として、KubernetesにはWebAssemblyをノードとして用いることを可能にするKrustletという仕組みがあります。Fermyonの創業者兼CEOであるMatt Butcher氏はこのKrustletの開発者でもあり、すなわちWebAssemblyをサービスの容れ物として使う技術の面で先端を行く人物の一人です。
そのMatt Butcher氏が率いる同社が今回発表したFermyon Cloudは、クラウドネイティブにおけるWebAssemblyの利用という注目の分野で何が起ころうとしているのか、ウォッチする上で外せないプロダクトといえそうです。
あわせて読みたい
ノーコード開発ツールのGoogle AppSheetがリレーショナルDBを搭載、「AppSheet databases」パブリックプレビュー公開
≪前の記事
Next.js 13登場、動的なWebサイトの実現を強化。複数ページでの動的データの共有や、ステートを維持した共通ナビゲーションの構築など容易に。Next.js Conf 2022