VMware、自宅サーバ愛好家のために「動作保証はないけど動くらしい」非公式ハードウェアリストを作成開始、コミュニティに情報提供を呼びかけ
VMwareが提供するvSphereなどのシステムソフトウェアには、動作を保証する対応ハードウェアの一覧「Hardware Compatibility List」(HCL)が用意されています。
システムを構築する場合には、このHCLに掲載されているサーバやストレージなどを組み合わせることになります。
しかし業務目的でシステムを構築するのではなく、自宅や仕事の勉強などのためにvSphereを試したい、いわゆる自宅サーバ愛好家や自宅ラック愛好家にとっては、HCLに掲載されている本番環境用に作り込まれたハードウェアは価格が高く、気軽に購入できるものでない場合がほとんどです。
そこで、動くかどうか分からないけれども、とにかく手元にあるマシンにインストールして、設定をあれこれ変えて試行錯誤してみる、ということをしている方も多いでしょう。
そうして試した結果、このハードウェアで動いた、という情報はコミュニティなどのあいだで共有されてきました。例えばインテルのNUCシリーズなどは、vSphereやNutanixなどが動作する(らしい)手軽なハードウェアとして一部で重宝されてきました。
最近ではArm用のvSphereがRaspberry Piで稼働することが分かっています。
VMwareのシニアスタッフソリューションアーキテクトのWilliam Lam氏は、GitHub上に「VMware Community Homelabs」という名前のページを立ち上げ、vSphereなどが動作したことを報告するブログのリンク集を公開することで、非公式なHCLとしてコミュニティにおける情報共有に一役買っていました。
コミュニティによる非公式なHCLの作成を公式に支援
このコミュニティによる非公式なHCLの作成を、VMwareが公式に支援することになったと、前述のWilliam Lam氏がブログ「New VMware Community HCL」で紹介しています。
[New] - New VMware Community HCL https://t.co/GFJ7ESpgbN
— William Lam (@lamw) March 7, 2022
☝️Super excited that we now have a platform that is scalable for an Official (Unofficial) @VMware Community HCL!
My call to action to community - Submit your VMware Homelab inventory & help grow our community pic.twitter.com/E8zD8JInm2
これは、システムインテグレータなど業務としてシステム構築をする際に、それを支援するものとしてVMwareが提供しているWebサービス「Solution Designer」による、ハードウェアの情報収集機能とデータベース機能をコミュニティにも開放する、というものです。
HCLに掲載されている公式にサポートされているハードウェア以外に、動作実績のあるハードウェアを登録し、検索することができるようになりました。
例えば、下記の画面は文字が小さくて分かりにくいのですが、前述のインテルのNUCをキーワードに検索すると、すべて「Not Certified」(非公式)ながらも8つの型番がリストアップされ、コミュニティによって動作実績のあるマシンとして登録されたことが分かります。
この画面は「Hardware Inventry」タブで表示される画面の「Search Popular Hardware」をクリックし、「Model」にキーワード(ここでは「NUC」)を入力することで検索結果を見ることができます。
Solution Designerは、ハードウェア情報を自動的に収集するツールが用意されているため、それを用いることで正確なハードウェア情報を収集し、登録できます。
登録や検索にはユーザー登録が必要。もちろん個人で登録可能です(私も上記の画面を見るために登録しました)。
William Lam氏はより多くの人にこのSolution Designerへの非公式な動作実績の報告を登録してもらえるように呼びかけています。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、会社のサーバルームでいろんなテストや実験をする、ということが以前より容易でなくなったこともあり、自宅のサーバで好きなだけテストをしたいニーズが高まっている……かどうかは分かりませんが、これはコミュニティの活性策としてなかなか面白い施策なのではないでしょうか。
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