iPhoneのパスワードレス機能はWindowsとも連携するとAppleが発表。Windows上のChromeにiPhoneをかざしてログインも可能に、FIDO標準への対応で
日本時間6月7日未明にAppleが開催したイベント「WWDC 2022」でAppleは、iOSデバイスで提供されるパスワードレス機能「Passkeys」が、Apple以外のデバイスとも連携するようになると説明しました。
と同時に、スクリーン上ではWindows 11のデスクトップ画面上にChrome(もしくはEdge)ブラウザのパスワードレスによるログイン画面が表示されていました。
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つまり、Touch IDやFace IDを使ってApple以外のデバイスでもパスワードレスでログインできるようになる見通しです。
Passkeysをクロスプラットフォーム対応にすると明言
AppleはWWDC 2022で、iPhoneに代表されるiOSデバイスで利用できるパスワードレスでのログイン機能を「Passkeys」として紹介しました。
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Passkeysは、パスワードレス機能の業界標準であるFIDO Alliance(ファイドアライアンス)の策定する仕様「FIDO/WebAuthn」に沿って実装される機能です。
iPhoneやiPad、MacBookなどのデバイスで指紋認証(Touch ID)や顔認証(Face ID)を行うことで本人確認が行われれば、そのデバイスを所持している者が本人であることを認め、デバイス内に生成された公開鍵暗号方式の「FIDO認証資格情報(FIDOクレデンシャル)」(Appleの用語としては「Passkey」と呼ぶ)による情報をサーバとやりとりすることで、ユーザーがいちいちパスワードを入力することなく、またサーバにパスワードが送られることなく安全にログインできる、というのがその仕組みです。
今年(2022年)3月には、このFIDO/WebAuthnをより便利に使えるようにするための追加仕様「FIDO/WebAuthn Level 3」が発表されました。
FIDO/WebAuthn Level 3では、FIDOクレデンシャルのバックアップとデバイス間での同期と、認証機器によるローミングという2つの機能が追加されました。
FIDOクレデンシャル、すなわちPasskeyのバックアップとデバイス間での同期は、AppleのデバイスにおいてはiCloud Keychainによって行われることが今回のWWDC 2022で紹介されました。iPhoneでPasskeyを登録すれば、Passkeyを同期したiPadやMacからでもパスワードレスでログインできるということになります。
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ではiPhoneからPasskeyを登録してもWindowsからはパスワードレスでログインできないのか、というと、そうではないことが今回示されました。
FIDO/WebAuthn Level 3の認証機器によるローミングとは、Windows PCの近くに認証機器すなわち指紋認証や顔認証などによる本人確認を行ったiPhoneやiPadなどのデバイスがあることがBluetoothなど何らかの方法で確認できれば、Windows PCからパスワードレスでログインできるようにしよう、という機能です。
Appleは今回のWWDC 2022で、FIDO Allianceの標準に沿ってマイクロソフトやGoogleと共同で作業し、Passkeysをクロスプラットフォームでシームレスに機能するように開発していることを明言しました。
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つまり自分のPCに顔認証機能も指紋認証機能もついていないWindowsユーザーだったとしても(もちろんPINコードを使ってもいいのですが)、その側に置いたiPhoneやiPadのTouch IDやFace IDを使ってパスワードレスでFIDO/WebAuthn対応のWebサイトやサービスなどにログインできるようになることが期待できるわけです。