HPEがNutanix買収に向けて交渉中と米ブルームバーグが報道。縮小するオンプレミス市場での買収の思惑とは?
Hewlett Packard Enterprise(HPE)がハイパーコンバージドシステム大手のNutanixの買収に向けて交渉していると米ブルームバーグが報道し、話題となっています。
報道によると、交渉はここ数カ月続いているとのこと。上記記事から一部を引用します。
事情が非公開だとして匿名を条件に語った関係者によれば、HPEはここ数カ月にニュータニックスと交渉している。両社の協議は断続的に行われ、価格で合意に達することができるかは不透明だという。
すでに10月中旬に米ウォールストリートジャーナルが、Nutanixが身売りを検討しているという報道をしています。このことも今回の米ブルームバーグの報道に説得力を与える材料になっています。
Nutanix、HPEともに業績は好調
Nutanixは、複数台のサーバをネットワークで連係させることでスケーラブルな仮想化基盤を構築、容易に導入できるハイパーコンバージドシステムの代表的なベンダとして知られています。
しかし、ITインフラの市場はNutanixの得意なオンプレミスの仮想化基盤から、クラウドとコンテナを中心とした市場へと移行しているところであり、Nutanixもそこへ向けて製品のアップデートを続けているところです。
参考:「Nutanix Clusters on Azure」正式リリース。これでAWSとAzureとオンプレミスのマルチクラウド/ハイブリッドクラウド対応に
8月末に発表されたNutanixの直近の業績は決して悪い数字ではなく、株価もここ最近は一時の低迷を脱しつつありますが、現在の製品群のままで同社がこの先も大きく成長していくビジョンを描くのは容易ではないと見られます。
一方のHPEはエンタープライズ向けのサーバやストレージなどハードウェアを中心とした代表的なベンダです。HPEも11月末に発表された直近の業績はアナリスト予想を上回り過去最高となったと報告されています。
両社が買収に向けた交渉をしているとすれば、Nutanixは業績が好調で株価を維持できているタイミングで、株主のためにできるだけ高く買ってもらいたいという思惑があり、一方のHPEも、間違いなく高い買い物になるであろうNutanixの買収は業績が好調なタイミングでなければできないだろうという思惑があるのだと考えられます。
都合の良いことに、Nutanixの主力製品であるハイパーコンバージドは、HPEの製品ランナップの弱いところであり、両社は補完関係にあります。
両社がこれまで得意としてきたオンプレミス向けのサーバ市場はこれから縮小していくことは明白です。買収が成立するとすれば、両社ともに体力があるうちに製品群を補完、強化し、その立場を活かしてハイブリッドクラウドやマルチクラウドへの展開を推し進める、ということを考えているのではないでしょうか。
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