AWSのグラフデータベースがサーバレスに、「Amazon Neptune Serverless」正式サービス提供開始
Amazon Web Services(AWS)は、マネージドサービスとして提供しているグラフデータベースの「Amazon Neptune」のサーバレス対応となる「Amazon Neptune Serverless」の正式サービス提供開始を発表しました。
Take your business all the way to Neptune! The first serverless purpose-built graph database that scales instantly in fine-grained increments to your exact needs—offering 90% cost savings compared to provisioning for peak capacity. Deeeep! #AWS https://t.co/VURnBhqi1s pic.twitter.com/p59b87IoM4
— Amazon Web Services (@awscloud) October 26, 2022
グラフデータベースとは
Amazon Neptuneは、「グラフデータベース」と呼ばれる種類のデータベースサービスです。マネージドサービスとして提供されているため、定期的なバックアップ作業や障害発生時の復旧などの運用はすべてクラウド側で行われます。
グラフデータベースは、あるオブジェクトとオブジェクトの関係をデータとして保持する機能を備えています。例えばFacebookやLinkedInなどのソーシャルメディアが、ユーザー同士の関係性を表すソーシャルグラフを格納するために使っている例がよく知られています。
リレーショナルデータベースの場合、あるデータが別のデータと関係を持つかどうかは、テーブルをジョインして確認する必要があります。
一方、グラフデータベースは関係を示す情報はデータごとに保持されているため、直ちに関係をたどることが可能です。
つまり、データの関係をどんどんたどる処理を行う場合、リレーショナルデータベースではジョインが何度も行われることで処理にかかる時間が急速に増大する一方、グラフデータベースは瞬時に関係をたどることができるため、すぐに処理が終了します。
データの関係を瞬時に検索できるグラフデータベースは、例えば、あるユーザーがクレジットカードで買い物をしようとしているときに、その利用者名、クレジットカード番号、使用店舗などのさまざまな情報が、過去の不正事例に含まれる何らかの情報と関連がないかを瞬時に検索することによる「不正利用の検出」を行う用途や、購入履歴から似たユーザーを検索し、そこから関連性の高い商品を選び出して素早く提示する「推奨エンジン」などの用途などでよく用いられます。
ただしグラフデータベースにはリレーショナルデータベースのSQLのような標準化された問い合わせ言語はなく、実装毎に異なる問い合わせ言語が利用されています。Amazon Neptuneでは、そのなかで比較的普及しているApache TinkerPop Gremlin、openCypher、SPARQLの3つの問い合わせ言語に対応しています。
リクエストがなければインスタンスがゼロに
今回正式サービスとなったAmazon Neptune Severlessは、Amazon Neptuneに対するリクエストがまったくない状態のときには自動的にAmazon Neptuneのインスタンスがゼロになり、リクエストが発生したときのみインスタンスが起動し、リクエストが多数になると対応するインスタンスも自動的に多数が起動される、いわゆるサーバレスの仕組みを備えました。データベース容量もデータに対応して自動的に伸縮します。
これにより、(サーバレスでない)Amazon Neptuneをあらかじめ余裕を持ってプロビジョニングした場合と比較して大幅なコスト削減が見込めると同時に、リクエストの増減にも自動的に対応してくれるため、データベース運用の手間をさらに省くことが可能となります。
Amazon Neptune Serverlessは現時点で東京リージョンをはじめ、米国東部(オハイオ)、米国東部(バージニア北部)、米国西部(北カリフォルニア)、米国西部(オレゴン)、欧州(アイルランド)、欧州(ロンドン)の各AWSリージョンで利用可能となっています。
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