マイクロソフト、ソースコードをAIが読み込んで自然言語で説明してくれる「Copilot Explain」を開発中。GitHub Copilotは今夏に正式サービスへ。Microsoft Build 2022
マイクロソフトは現在開催中の開発者向けイベント「Microsoft Build 2022」で、ソースコードの内容をAIが自然言語で説明してくれる「Copilot Explain」の開発を進めていることを明らかにしました。
AIが説明してくれることで、そのソースコードについてまだ詳しい内容を把握していないプログラマによるコードの修正やデバッグ作業などの効率化がはかれるとしています。
AIが自然言語の説明とコードの関係を学習
GitHub Copilotでは、人間のプログラマがペアプログラミングの相手であるAIに対してこれから書こうとしているコードの意図を説明するために、まずコメントを記述します。そしてコードを書き始めると(あるいはコメントを書いたらすぐに)、AIがその意図に合致するであろうコードを提案してくれます。
提案されたコードがよさそうであれば、人間はそれを確定させるか、あるいは書き換えるといった対応をコードエディタ上で行います。
つまりGitHub Copilotは一般的なソースコードよりも多くのコメントとそれに対応したコードを生み出すことになります。これはGitHub Copilotの背後にあるAIにとって、自然言語とそれに関係したコードの関係を学ぶ上で、より優れた学習データの獲得につながるわけです。
Copilot ExplainはこのGitHub Copilotによるコメントからコードを生成する仕組みを逆にし、AIがコードを読んで自然言語で解説してくれるというもの。
コードエディタ上でAIに解説して欲しいコードを選択し、右下の「Ask Copilot」ボタンをクリックします。
すると自然言語での解説が生成されます。ここでは「入力された文字列を空白などで分割」「それぞれの文字列中のワードのインデックスによる配列からなるオブジェクトを生成」「オブジェクトをリターン」と解説されました。
Copilot Explainはまだ研究中のプロジェクトのようで、サービス化の予定などについては語られていません。しかしマイクロソフトはAIを用いたさまざまなITエンジニアの支援を研究中であることを明らかにしています。
その別の例として、PowerShellに自然言語を入力すると適切なコマンドをAIが選択して実行するデモも紹介しています。
下記はPowerShellのプロンプトに「IPアドレスは何?」と質問するとIPアドレスを表示するコマンドを実行し、さらに「1018番ポートで走っているプロセスは?」と質問すると、そのプロセスを表示するコマンドを実行。「そいつを止めて」と入力すると、プロセス停止を実行するコマンドが実行されました。
GitHub Copilotは今夏に正式サービスへ
マイクロソフトはまた、現在テクニカルプレビューとなっているGitHub Copilotが今夏に正式サービスとなることも発表しました。学生およびオープンソース向けには無料で提供することも発表しました。
これによりさらに多くの開発者がGitHub Copilotを利用し、その背後にあるAIはますます多くの学習データを得ることになることは間違いありません。
マイクロソフトはAIによる開発者の支援強化を徹底的に進めていくと、今回のMicrosoft Build 2022で明らかにしています。こうした学習データは同社の戦略上とても重要なものになるでしょう。
Microsoft Build 2022
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