VMwareが「Project Capitola」発表。vSphereでDRAMや不揮発性メモリを階層化し低コスト大容量メモリ実現、メモリプールとして利用可能に。VMworld 2021
VMwareは同社主催の年次イベント「VMworld 2021」をオンラインで開催中です。
そのVMworld 2021で同社は、DRAMや不揮発性メモリ、NVMe経由のフラッシュメモリなどを仮想化ハイパーバイザで階層化、大容量メモリとして統合しつつ、仮想マシンからは通常のメモリと同様に扱えるようにする新技術「Project Capitola」を発表しました。
低コストで大容量メモリを仮想的に構築
インメモリデータベースに代表されるように、最近のアプリケーションは高速かつ高機能を実現するために大容量のメモリを要求するようになってきました。
この要求に従ってサーバの搭載メモリ容量をDRAMにより増やしていくと、それはそのままコストの増大につながります。
そこで現在注目されているのが、DRAMよりも安価に大容量のメモリを実現できる、インテルのOptane DC Persistent Memory(以下Optaneメモリ)やNAND型フラッシュメモリ(以下フラッシュメモリ)などによる不揮発性メモリの活用です。
これらはDRAMよりも安価な一方で、アクセス速度は遅いという欠点があります。
Project Capitolaでは、このDRAMとOptaneメモリ、フラッシュメモリを、vSphere仮想化ハイパーバイザ内でまとめて仮想的な大容量メモリに見せることで、OSやアプリケーションが安価で大容量のメモリを利用できるようにします。
と同時に、よくアクセスされるデータはDRAMに、ときどきアクセスされるデータはOptaneメモリに、あまりアクセスされないデータはフラッシュメモリに配置するといった自動階層化を行うことで、全体としてメモリのアクセス速度を一定程度高速に保つことができます。
Project Capitolaを仮想化ハイパーバイザで実現する意味
さらにこれをvSphere仮想化ハイパーバイザ内の仕組みとして実現することで、その上の仮想マシン上で稼働するOSやアプリケーションに対しては通常のメモリとして見せられます。そのためOSやアプリケーションの書き換えは不要で、そのままOptaneメモリやフラッシュメモリなどの新しい種類のメモリをすぐに活用できます。今後さらに新しい種類のメモリが登場しても同様です。
さらにVMwareはこの階層化したメモリを、vSPhereの分散リソース管理の仕組みであるDistributed Resource Scheduler(DRS)の支配下に置くことで、分散環境下でのメモリプールとして複数のマシンから利用できるようにすることも明らかにしています。
するとあるホストがネットワーク経由で別のホスト上のメモリを割り当てて利用する、といった効率的なメモリの利用も可能になると見られます。
Project Capitolaは現在テクノロジープレビューで、今後段階的にリリースされる予定。最初のリリースではホストレベルでのメモリの階層化に重点を置き、その後のリリースではクラスタレベルでの分散メモリプールへと拡張される予定。
メモリ・ベンダー(Intel、Micron、Samsungなど)、サーバ(Dell、HPE、Lenovo、Ciscoなど)、サービスプロバイダ(Equinix)の幅広いエコシステムが支持を表明しており、オンプレミスやクラウドで実現されていく見通しです。
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