前Red Hat CEOのジム・ホワイトハースト氏、IBMのプレジデントを退任へ、自身が決断
米IBMは、同社プレジデントのジム・ホワイトハースト氏の退任を発表しました。
ジム・ホワイトハースト氏はいずれIBMのCEOに就任するだろうと見られていた人物です。そのため、今回の退任発表は意外なものと受け止められています。
いずれIBMのCEOになると見られていた
Red Hatは誰もが知るオープンソース企業の最大手であり、ホワイトハースト氏は2007年にCEOに就任以来、同社を成長させてきた最大の貢献者といっても過言ではないでしょう。
2018年10月、IBMがそのRed Hatの買収を発表します。買収完了後の2020年4月にはホワイトハースト氏がRed HatのCEOを退任。IBMプレジデントに就任しました。
参考:Red Hat新CEOにポール・コーミア氏が就任。CEOだったホワイトハースト氏はIBMプレジデントに
IBMも長年に渡ってオープンソースを戦略的に採用してきた企業です。Linuxはメインフレームでも使えるようになっており、統合開発環境のEclipseはもともとIBMが開発したソフトウェアでした。
そのIBMのプレジデントにホワイトハースト氏が就任した時点で、多くの人が「いずれホワイトハースト氏はIBM CEOになるだろう」と予想することは自然なことでした。
しかもIBMはハイブリッドクラウドを戦略の柱としており、それを実現する重要な基盤ソフトウェアがRed Hat OpenShiftです。同社のハイブリッドクラウド戦略を率いていくリーダーとしてホワイトハースト氏はまぎれもなく適切な人材でした。
しかし、今回のIBMの発表はそうした予想を裏切るものになったようです。下記に今回の発表「IBM Leadership Changes」から、一部を引用します。
Jim Whitehurst has played a pivotal role in the IBM and Red Hat integration. In the almost three years since the acquisition was announced, Jim has been instrumental in articulating IBM’s strategy, but also, in ensuring that IBM and Red Hat work well together and that our technology platforms and innovations provide more value to our clients. Jim has decided to step down as IBM President, however I am pleased he will continue working as Senior Advisor to me and the rest of the Executive Leadership Team as we continue to evolve our business.
ジム・ホワイトハーストは、IBMとRed Hatの統合において極めて重要な役割を果たしました。買収が発表されてから約3年、ジムはIBMの戦略を明確にするだけでなく、IBMとRed Hatがうまく連携し、両社のテクノロジープラットフォームとイノベーションがお客様により高い価値を提供できるようにするために尽力してきました。ジムはIBMのプレジデント退任を決断しましたが、彼が私(訳注:アルヴィンド・クリシュナ会長兼CEO)や他のエグゼクティブリーダーシップチームのシニアアドバイザーとして、私たちがビジネスを進化させていくために働き続けてくれることを嬉しく思います。
発表から読み取れることは、退任はホワイトハースト氏自身の決断であるということ、そして引き続き経営陣のアドバイザとしてIBMに残ることです。しかし経営に直接かかわるわけではないようですので、おそらくこれは退社に向けた移行措置ではないかと思われます。
1967年生まれのホワイトハースト氏は、現在まだ50歳代前半。今後どのようなキャリアを選ぶのでしょうか。
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