マイクロソフトがOpenInfra Foundation(旧OpenStack foundation)に最上位スポンサーで加盟へ。AzureブランドでOpenStackによるテレコム向けサービス拡大か?
マイクロソフトがOpenInfra Foundationに加盟したことが発表されました。
Say hi to @Microsoft, the #OpenInfra Foundation's newest Platinum Member!
— Open Infrastructure Foundation (@openinfradev) September 7, 2021
Join companies like Microsoft to collaborate with them and build the next decade of #OpenInfrastructure: https://t.co/dqGtpAOxay#WeAreOpenInfra pic.twitter.com/iCNXHN5zdj
OpenInfra Foundationは、もともとはオープンソースのクラウド基盤として開発されてきたOpenStackの開発と普及を目的とした独立組織であるOpenStack Foundationが、2020年10月にその名称を変更した組織です。
OpenInfra Foundationは引き続きOpenStackおよび関連ソフトウェアの開発と普及を主なミッションとしています。
マイクロソフトはこのOpenInfra Foundationに複数年契約のプラチナスポンサーとして加盟しました。
マイクロソフトのクラウド「Microsoft Azure」は同社独自のソフトウェア基盤を採用しているため、いまさら同社にとってOpenStackおよび関連ソフトウェアの開発や普及を支援する団体に加盟する必要はないように見えます。
なぜ同社はOpenInfra Foundationに加盟したのでしょうか?
その理由は上の画像にも示されています。
マイクロソフトはAT&Tから5G基盤を買収した
マイクロソフトとAT&Tは今年6月30日、AT&Tの5Gモバイルネットワークおよび技術者をマイクロソフトが買収したことを発表しています。
マイクロソフトは以前から「Azure for Operators」としてテレコム向けの機能や信頼性を備えたクラウドを展開してきました。このAT&Tの5G基盤もAzure for Operatorsのブランドに組み込まれています。
AT&Tの5Gモバイルネットワーク買収は、テレコム向けにもMicrosoft Azureを売り込んでいこうという戦略の一端であるわけです。
ただしテレコム向けのクラウドは、いわゆる電話交換機レベルの高い信頼性と性能、一般企業向けとは異なるさまざまな機能が要求されます。
AT&Tを含む多くのテレコム企業は、これをOpenStackを基盤とした独自のクラウドを構築することで実現しようとしてきました。だからこそ、AT&Tは以前からOpenInfra Foundationのプラチナスポンサーだったのです。
そしてマイクロソフトが今回AT&Tから買収した5Gモバイルネットワーク基盤こそこの、AT&TがOpenStackを用い、5G向けに機能と性能と信頼性を作りこんだものであることは間違いありません。
これをMicrosoft Azureに乗せ換えることなど容易ではないでしょう。つまり、これをさらに発展させていくにはOpenStackとその周辺技術の発展が欠かせません。
そのためにマイクロソフトは新たにOpenStackをホストする団体であるOpenInfra Foundationに最高位スポンサーとして加盟し、その発展と普及に積極的にコミットすることを決断したのだと推測されます。
Azureブランドの下でテレコム向けにOpenStackベースのクラウドを展開するか?
そして、この技術とサービスをさらに発展拡大し実績を積みあげることで、マイクロソフトはAT&T以外のテレコム企業へも、この技術を基盤としたクラウドサービスで売り込みをかけることができるはずです。
ここから想像できるのは、Azure for Operatorsは、名前こそAzureと付いているものの中身はMicrosoft Azureとは異なり、たとえ現時点ではAzureベースだったとしても、これからはOpenStackをベースにしたものになるのかもしれない、ということです。
マイクロソフトはもしかしたら、Azureというブランドの下に、一般向けの従来のAzueと、テレコム向けのOpenStackベースのクラウドを展開するのかもしれません。今後同社がOpenStackにどう取り組んでいくのかが注目されます。
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