マイクロソフト「.NET 6」初めてのプレビュー版リリース。Xamarin統合、マルチプラットフォームUI、Blazorでデスクトップアプリ、Apple M1ネイティブなど
マイクロソフトはオープンソースで開発されているフレームワーク「.NET」の次バージョン「.NET 6」の最初のプレビュー版「.NET 6 Preview1」をリリースしたと発表しました。
Announcing .NET 6 Preview 1 https://t.co/z0mkcA6c0m
— .NET (@dotnet) February 17, 2021
「.NET」は、Windowsアプリケーションのためのフレームワークとして登場した「.NET Framework」と、その後に登場したMacやLinuxに対応するオープンソースの「.NET Core」を統合し、その後継となったフレームワークです。
.NETの最初のバージョンである「.NET 5」は2020年11月に正式版が登場しました。「.NET 6」は今年の11月に正式版がリリースされる予定となっています。と同時に「.NET 6」は.NET Framworkと.NET Coreを統合した.NETとしては初めて本番環境での利用に対応した長期サポート版(LTS)となります。
Xamarinもついに統合、iOS/Androidのモバイルアプリに対応
マイクロソフトはもともと「.NET 5」において、.NET Frameworkと.NET Coreだけでなく、モバイル向けのフレームワークであるXamarinも統合し、マイクロソフト唯一のフレームワークにするはずでした。
参考:[速報]オープンソースの「.NET 5」がすべての.NETを引き継ぐ。.NET Frameworkと.NET CoreとXamarinは「.NET 5」に。Microsoft Build 2019
しかし2020年から始まった世界的な新型コロナウイルスの感染拡大によってXamarinから.NET 5への移行に時間がかかる顧客への影響などを鑑み、Xamarinの.NETへの統合は.NET 6へ先送りされることになりました。
予定通り、.NET 6 Preview1ではXamarinの統合が行われています。これにより.NET 6ではiOSとAndroidに対応したモバイルアプリケーションの開発にも対応することになります。
そしてこれで.NETは、Windows、Mac、Linux、iOS、Androidなどに対応し、またWindowsではx86とArmに、Macでもx86とApple M1チップに対応し、デスクトップアプリケーション、サーバーアプリケーション、モバイルアプリケーション、Webアプリケーションの開発にも対応するマルチプラットフォームあるいはユニバーサルなフレームワークとしての位置づけをさらに拡大することになります。
マルチプラットフォームのUIキットも登場
.NET 6には予定通り、単一のソースコードでWindows、Mac、iOSやAndroidなど複数のプラットフォームのユーザーインターフェイスを記述できるUIキット「.NET Multi-platform App UI」(.NET MAUI)も含まれる予定です。
これは.NET 6でXamarin.Formsの機能を組み込み、それを拡張することなどで実現されるもの。
.NET 6 Preview1では、まずAndroidとiOSの対応が行われ、今後リリース予定のプレビューでWindowsやMacなどへの対応も追加されていく予定です。
Balzor desktopも追加。Electronライクな実装
C#など.NETテクノロジーでWebアプリケーションを開発できるBlazorには、新機能としてデスクトップアプリの開発にも対応する「Blazor desktop」が加わります。
Blazorには、サーバサイドで実装する「Blazor Server」とクライアント側がWebAssemblyで実装された「Blazor WebAssembly」がこれまで登場しています。
Blazor desktopはいわゆるハイブリッドアプリ、つまりHTMLやJavaScriptなどのWeb技術を用いてアプリケーションを実装し、それをElectronのようなWebViewコンポーネントの上で実行することで、ネイティブアプリのような使い勝手を実現するのと似た仕組みで、基本的にはWebAssemblyを使わずにデスクトップアプリケーションを実現すると説明されています。
そのほか.NET 6ではシングルファイルアプリケーションの改善、.NET CLIの改善、コンテナ対応の改善、Windows ACL対応の改善などをはじめ、多くの機能追加や改善が予定されています。
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