Linux Kernel 5.15リリース。LTS版、新しいNTFS対応ドライバ、インカーネルSMB 3サーバ、不揮発性メモリへのスワップアウトなど新機能
Linuxカーネルの最新版となるLinux Kernel 5.15が10月31日付けで正式にリリースされました。
Linuxカーネルは毎年「Longterm Maintenance Kernel」と呼ばれる長期リリース版(いわゆるLTS版)が登場します。2019年は11月に登場したバージョン5.4が、2020年は12月に登場したバージョン5.10がLongterm Maintenance Kernelに設定されました。
今年は今回のLinux 5.15がLongterm Maintenance Kernelとなり、少なくとも2023年10月までメンテナンスが行われることが表明されています。
Linux Kernel 5.15では新しいNTFS対応、インカーネルSMB 3サーバ、不揮発性メモリへのスワップアウト、AMDプロセッサ対応の改善などが含まれています。
NTFSに対応したドライバは新しい実装となりました。パラゴンソフトウェア社の貢献によるものです。これによりWindows XPから利用され、現在広く使われているNTFS 3.1での読み書きが可能になり、また通常のファイルだけでなく圧縮ファイル、スパースファイルなどにも対応します。
インカーネルSMB 3サーバは、文字通りSMB 3のプロトコルに対応したサーバ機能を提供するものです。ただしこれでSambaが必要なくなるわけではありません。SambaはLDAPやActive Directoryなど幅広い機能を提供しているため引き続き利用されることでしょう。今回のインカーネルSMB 3サーバ機能によって、よりよい性能のSMBサーバを実装できることになります。
Linuxカーネルによる不揮発性メモリの活用にも踏み出しました。これまでOSがホストマシンに搭載されているDRAMの容量を上回るメモリを利用する場合、DRAMに収まりきらなかった部分がハードディスクなどのストレージへとスワップアウトされていました。
Linux 5.15ではDRAMに収まりきらない内容を不揮発性メモリへ書き込むことができるようになりました。これによりメモリを大量に要求するアプリケーションなどで、不揮発性メモリを利用した大幅な性能改善が期待できます。
そのほか、AMDプロセッサではZen3アーキテクチャAPUでの温度モニタリングが可能になり、Vangoghアーキテクチャでのオーディオドライバが搭載されるなど、さまざまな対応改善が行われています。
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