KubernetesのノードとしてWebAssemblyランタイムを用いる「Krustlet」、CNCFのサンドボックスプロジェクトに申請
オープンソースとして開発されている「Krustlet」は、KubernetesのノードとしてDockerコンテナではなく、WebAssemblyのランタイムを用いることができるようになるソフトウェアです。
Krustletは、KubernetesのノードエージェントであるKubeletとして振る舞い、自身をKubernetesのノードとして登録します。すると、WebAssemblyアプリケーションをPodとして実行できるようになるのです。
つまり、OS上のサンドボックスとしてDockerコンテナを用い、そのなかでWebAssemblyランタイムを実行するのではなく、WebAssemblyをOS上のサンドボックスとして用いる、ということです。
これによりDockerコンテナよりもさらに軽量で、しかもOSよりもそもそも実装されている機能が少ないという意味でセキュアなWebAssemblyを、Kubernetesのノードとして利用できるようになるわけです。
KrustletはRustで実装されたWebAssemblyのランタイムであることから、その名称は「Kubernetes-rust-kubelet」を略したものになっています。
Krustretはマイクロソフトが買収したDeis Labsが主導して開発しており、もうすぐ正式版となるバージョン1.0が登場予定です。
参考:KubernetesのノードとしてWebAssemblyランタイムを用いる「Krustlet」、マイクロソフトが公開
KrustletがCNCFのサンドボックスプロジェクトへ
このKrustletが、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)のサンドボックスプロジェクトへ申請されたことが明らかになりました。
CNCFは、Kubernetesをはじめとするクラウドネイティブ関連ソフトウェア群の開発を推進する団体です。CNCFがホストするプロジェクトは、そのソフトウェアの成熟度に応じて「Sandbox」(サンドボックス)、「Incubating」(インキュベイティング)、「Graduated」(グラジュエイテッド)に分かれています。
クラウドネイティブなシステムを構築するために十分な成熟度を備えたソフトウェアがGraduatedとなりますが、あらゆるソフトウェアが時間をかければ成熟するわけではなく、十分にユーザーが広がらないなどの理由で開発が足踏みや後退することもあり得ます。
一方で、KrustletはKubernetesのノードにWebAssemblyを用いるという野心的なプロジェクトです。CNCFのプロジェクトにKrustletが採用されることになれば、クラウドネイティブの世界のなかで(これまでもある程度注目されてはいましたが)WebAssemblyが注目される大きなきっかけになるのではないでしょうか。
CNCFでのレビューミーティングは来週、6月22日に行われるそうです。
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