jQuery UIとjQuery Mobileがついに開発終了、今後はメンテナンスのみに。jQuery本体は引き続き積極的に開発
JavaScriptのUIフレームワークであるjQuery UIと、モバイルアプリケーション向けフレームワークであるjQuery Mobileは今後新規機能の開発が行われず、jQuery UIについてはメンテナンスへ移行、jQuery MobileについてはDeprecated(利用を推奨せず)になることがOpenJS Foundationから正式に発表されました。
jQuery UIは2007年に登場、jQuery Mobileは2011年に登場しました。一時期はWebサイトなどで広く使われ、関連書籍なども数多く出版された主要なライブラリ群の開発が正式に終わることになります。
ただしjQuery本体の開発は引き続き積極的に行われていくとのことです。
Following a testing period with multiple release candidates, @jqueryui has published version 1.13, with no further releases planned. This is one of a pair of announcements out today from the @jquery team related to their ongoing modernization work: https://t.co/uCcUy86Hcb
— OpenJS Foundation (@openjsf) October 7, 2021
Additionally, @jquery has fully deprecated and archived the jQuery Mobile project. Read more about jQuery Mobile's status and history here: https://t.co/PTiabcRel0
— OpenJS Foundation (@openjsf) October 7, 2021
jQuery UIはメンテナンスモードへ移行
jQuery UIは、JavaScriptの代表的なライブラリであるjQueryのプラグインとして、Webアプリケーションにメニューやボタン、タブ、スライダーといったさまざまなユーザーインターフェイスを簡単に実装できる機能を提供してくれるソフトウェアです。
そのjQuery UIの最終版として「jQuery UI 1.13.0」がリリースされました。
このバージョンでは動作環境として最新のjQuery Coreを含むjQuery 1.8以後のバージョンがサポートされます。
そしてこのjQuery UI 1.13.0をもってjQuery UIの計画的なリリースは終了し、今後はメンテナンスモードに入ることがOpenJS Foundationのブログ「jQuery maintainers update and transition jQuery UI as part of overall modernization efforts」で発表されました。
jQuery MobileはDeprecatedとなり、他のライブラリなどへの移行推奨
jQuery Mobileは、HTMLを記述することでWebサイトをモバイル対応にできるというJavaScriptライブラリです。
2014年10月に最後のバージョンとなる1.4.5がリリースされてから7年が経過し、そのままになっています。最新版のjQueryにも対応できていません。
そしてjQuery Mobileは先週の2021年10月7日をもってDeprecate(利用を推奨せず)が宣言されました。現時点でjQuery Mobileを利用しているWebサイトなどについては、別のライブラリやフレームワークなどへの移行が推奨されています。
jQueryおよびjQuery UIとjQuery Mobileのこれまでの歩み
2006年に登場したjQuery、そしてjQueryをベースに登場したjQuery UI、jQuery Mobileは、JavaScriptで動的なWebアプリケーションを開発するムーブメントを牽引してきたソフトウェアです。
しかし2010年代に入り、より優れた他のソリューションの登場などによって少しずつ存在感を失いはじめます。2012年には開発組織のてこ入れのために「jQuery Foundation」が設立されました。
参考:jQuery/jQuery Mobileなどの支援を目的に「jQuery Foundation」が設立
そのjQuery Foundationもやがて単独での組織維持が難しくなり、2016年にLinux Foundation傘下でAppium、Dojo Toolkit、ESLint、Gruntなどの開発組織も加わった「JS Foundation」となります。
参考:Linux財団傘下に「JS Foundation」が発足、ESLint、Appium、jQueryなどをホスト。Node.js Foundationとの協力で標準策定に関与も
それでもjQuery UIとjQuery Mobileについては十分な開発リソースを得ることができず、2018年にjQuery UIとjQuery Mobileの開発組織が刷新されて1つにまとまります。
参考:jQuery MobileとjQuery UI、停滞を打破するため開発体制を刷新。以前より簡単にコントリビュート可能に
こうした努力の甲斐もなく前述の通りjQuery Mobileは新バージョンが登場せず、jQuery UIも大きな新機能追加が行われないまま、今回の発表に至りました。
ちなみに、2019年にはJS FoundationにNodeJS Foundationが合流し、現在の「OpenJS Foundation」となりました。
参考:Node.js Foundationと、ESLintやAppiumなどをホストするJS Foundationが合併し「OpenJS Foundation」が発足
現時点でも広く使われているjQuery本体の開発は継続して積極的に行われていくとのことで、jQueryを利用しているWebサイトの開発者はまだ心配する必要はないと思われます。
とはいえjQueryも主要なCSSフレームワークのBootstrapで使われなくなるなど、HTMLやCSS、JavaScriptの進化によって徐々にその役割の範囲が小さくなってきていることは間違いありません。その長期的な動向について折に触れ注視していくべきでしょう。
参考:jQuery依存を脱した「Bootstrap 5」正式リリース、IEもついにサポート対象外に。右からの横書き「RTL」など新機能
Publickeyでも引き続き、何らかの動きがあれば記事にしていくつもりです。
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いまから10年前、2011年2月のこのjQuery Mobileの解説記事には1000個以上のはてなブックマークが付けられ、登場時の注目度は非常に高かったことが思い出されます。Publickeyでも最初の実験的モバイル対応版ではjQuery Mobileを採用していました。
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