JavaScriptツールチェインの統一を目指す「Rome」開発チームが起業、「Rome Tools, Inc.」を立ち上げ
現在、モダンなJavaScript開発環境としては、ESLintに代表される構文チェッカーや、Babelに代表されるJavaScript変換ツール、モジュールを組み合わせるなどのバンドル操作を行うWebpackなど、さまざまなツールを組み合わせる、いわゆるツールチェインを用いるのが一般的となっています。
こうしたなかで、このツールチェインの機能をすべて備えた1つのツールでJavaScriptの開発環境を統一してしまおうというオープンソースのプロジェクト「Rome」が、昨年発表されました。
Romeでは、JavaScriptやTypeScript、JSXなどでの開発において、現時点で以下の領域をカバーする予定です。HTML、CSS、Markdown、JSONなどにも対応予定。
- Bundling
- Compiling
- Documentation Generation
- Formatting
- Linting
- Minification
- Testing
- Type Checking
- … and more
そして5月4日付けで、Romeの主要な開発者であるSebastian McKenzie氏がRomeの開発とサポートを推進するための企業「Rome Tools, Inc.」を立ち上げたことを発表しました。
Announcing Rome Tools Inc, an open source first company for @rometools https://t.co/ZSAsFec8Fp
— Sebastian (@sebmck) May 4, 2021
Sebastian McKenzie氏は、現在JavaScriptのツールとして広く使われている「Babel」や「Yarn」の開発者です。
McKenzie氏はRomeの開発に当たり、これらのツールから触発されたことを明らかにしており、Romeではよりシンプルで改善されたJavaScriptのツールを実現することを目指していると説明しています。
そしてRomeは引き続きオープンソースとして開発され、設立する新会社ではオープンソースとして開発されるRomeを補完する製品やサービスを提供する予定とのことです。
The company exists to support the open source project, not the other way around. We don’t believe in placing artificial constraints on the tool or having functionality behind a paywall. In order to support the open source project, we’ll be building supplemental products and services. This aligns our incentives with the community and our open source users, with a focus on interoperability, performance, and usability.
この企業はオープンソースプロジェクトをサポートするために存在するのであって、その逆ではありません。私たちは、ツールに人為的な制約を設けたり、機能を有料にしたりするつもりはありません。オープンソースプロジェクトをサポートするために、私たちは補完的な製品やサービスを作る予定です。相互運用性、パフォーマンス、ユーザビリティに焦点を当てることで、コミュニティやオープンソースのユーザーと私たちのインセンティブを一致させることとなります。
(追記 2022/4)最初のツール「Rome Formatter」がリリースされました。
あわせて読みたい
マイクロソフトが無償でJava長期サポート/著作権訴訟でGoogleがオラクルに勝訴/Google、ノーコードで業務用ボット「AppSheet Automation」ほか、2021年4月の人気記事
≪前の記事
マルチプラットフォーム対応が進むKotlin。「Jetpack Compose for Web」登場、Webアプリ対応のUIフレームワーク