マイクロソフトが無償でJavaの長期サポートを提供へ、「Microsoft Build of OpenJDK」をリリース

2021年4月7日

マイクロソフトは同社独自のOpenJDKディストリビューションとなる「Microsoft Build of OpenJDK」のプレビューリリースを発表しました

Microsoft Build of OpenJDKは無償で提供される、長期サポート(LTS:Long Term Support)対応のOpenJDKディストリビューションです。

つまり、3年ごとに登場するLTS版のJavaに対応し、少なくとも3年間はそのLTS版のバージョンに対してセキュリティパッチやバグフィクスが無償で提供されます。

今回Microsoft Build of OpenJDKのプレビューリリースとして公開されたのは、現時点でJavaのLTS版となっているJava 11に対応したビルドで、Windows、macOS、Linuxに対応したバイナリがそれぞれ用意されています(ほかにWindows AArch64/ARM64向けのOpenJDK 16アーリーアクセス版も提供されています)。

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今年2021年9月には次のLTS版となるJava 17が登場予定です。マイクロソフトはJava 17が登場次第、速やかにJava 17に対応したMicrosoft Build of OpenJDKのディストリビューションを提供するとしています。

また、今年後半にはMicrosoft Azureのマネージドサービスで提供するJava 11のデフォルトが、Microsoft Build of OpenJDKになるとのことです。

Javaの長期サポートを利用できる選択肢が増えた

現在、もっとも代表的な無償のOpenJDKディストリビューションは、オラクルが提供しているOracle OpenJDKディストリビューションでしょう。ただしOracle OpenJDKディストリビューションは長期サポートを提供しておらず、6カ月ごとにメジャーバージョンアップが行われています。

これに対して企業などでは、もっと長期でJavaのバージョンを固定し、開発や運用を行いたいというニーズが強くあります。

その場合、オラクルなどが提供する有償サポートを利用して長期サポートの提供を受けるか、あるいはAWSのディストリビューションであるAmazon Correttoや、マイクロソフトとAzul Systemsが提供しているAzul Zuluなど、無償で長期サポートが提供されているディストリビューションを利用するなどの選択肢があります。

今回この選択肢に、マイクロソフトが独自にビルドして提供するMicrosoft Build of OpenJDKが加わったことになります。「安心できる大手ベンダが提供し長期サポートしてくれるJavaを、できれば無償で使いたい」という、おそらく多くのJava開発者や組織が願っている条件をかなえてくれる有力な選択肢になることは間違いありません。

Microsoft Build of OpenJDKの登場は、AWSが独自のOpenJDKディストリビューションであるCorrettoを長期サポートも含めて無償で提供したことに対抗しているように見えます。

オラクルがOracle JDKにおける長期サポートの有償化を発表した時には、「Javaが有償化された」と(誤解を含む)多くの非難を浴びました。一方でそれはJavaにおけるOracle JDK一強の時代を終わらせ、その代わりにEclipse Adoptium(旧AdoptOpenJDK)やAmazon Corretto、そして今回のMicrosoft Build of OpenJDKなど、さまざまなOpenJDKディストリビューションへの注目や新規開発や競争を促進し、結果的にJavaエコシステムの広がりにつながってきていると言えるのではないでしょうか。

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