クラウド市場でアリババがIBMを抜き去り、AWS、Azure、Google、アリババの4強が明確に。2020年第4四半期、Synergy Research Groupとcanalys
クラウド専門の調査会社Synergy Research Groupは、2020年第4四半期のクラウドインフラに関する調査結果を発表しました。
クラウドインフラとは、IaaS、PaaS、ホステッドプライベートクラウドを合わせたものと同社は定義しており、この1年で市場全体が35%成長し、市場規模は約37ビリオンドル(370億ドル、日本円で約4兆円)に拡大しました。
アリババがIBMを抜き去って4位に
主要なクラウドベンダのシェアを見ると、Amazon Web Services(AWS)が約32%で首位。次がマイクロソフトで約20%。Googleや約9%で3位、4位にはアリババが約6%で位置しています。
5位にIBM、6位以下には、Tencent、オラクル、NTT、Baidu、SAP、富士通、そしてRackspaceなどが含まれています。
しかしグラフ内で「Others」の線が示す6位以下のシェアは全体としては継続的かつ急速に下がっており、5位のIBMも下がっていることを考慮すれば、市場が上位4強の寡占化を強めていることが分かります。
さらに上記のグラフを見ると次の2つの点を読み取ることができます。
1つは、主要なクラウドベンダの中でマイクロソフトの成長率が目立って大きい点、そしてもう1つは、この1年でアリババが明確に(シェアを一貫して下げてきた)IBMを抜き去り、4位の位置を固めたことです。
別の調査結果でも4強はAWS、マイクロソフト、Google、アリババに
この2点は、別の調査会社であるcanalysが発表した2020年第4四半期の調査結果でも示されています。
canalysの調査結果もクラウドインフラとしてIaaS、PaaS、ホステッドプライベートクラウドなどを含んでいます。
同社が発表した2020年第4四半期における成長率を示したグラフが下記です。過去1年の成長率は、AWSが28%に対し、3位のMicrosoft Azureが50%、3位のGoogle Cloud、4位のAlibaba Cloudもそれぞれ58%、54%と高い成長率を見せています。
下記がcanalysによる2020年第4四半期におけるシェアのグラフ。前述のSynergy Research Groupの調査結果と数字の差異はあるものの、ここでもAWS、Micrsoft Azure、Google Cloud、Alibaba Cloudが4強であることが明示されています。
4位から滑り落ちたIBMは、すでにクラウドのマネージドサービス事業を分社化することを発表しています。分社化をきっかけにシェア上昇へと逆転できるか、3位以下のシェアはまだ変動する可能性があるでしょう。
一方、AWSとマイクロソフトは安定して高いシェアと成長率を維持しており、短期的に両社の立場が大きく変動することはなさそうです。
追記:2021/2/8 IBMが分社化するのはクラウド部門とする表記がありましたが、これは誤りでマネージド・インフラストラクチャー・サービス部門であったため、最後から2つ目のパラグラフを修正しました。お詫びして訂正します。
あわせて読みたい
Google、API管理プラットフォームの「Apigee X」発表。Cloud CDNで性能向上、機械学習でインテリジェントにデータ保護など
≪前の記事
Docker社、Docker Hubのソースコードの一部を「Docker Distribution」としてCloud Native Computing Foundationに寄贈