Google、マイクロソフトらが設立、「Open Web Docs」を発表。MDNなど支援、Web技術のドキュメント化を推進
オープンソースやテクノロジーを中心としたコミュニティの維持や発展を支援する組織「Open Collective」は、Web技術のドキュメント化を長期的に支援する取り組みとして「Open Web Docs」を発表しました。
Open Web Docsはおもに既存のコミュニティによるドキュメント、特にMozillaのMDNをまずは優先的に支援するとしています。
We’re happy and proud to announce Open Web Docs, to support a community of technical writers around creation and long-term maintenance of web platform technology documentation that is open and inclusive for all.https://t.co/QqoXUADHc1
— Open Web Docs (@OpenWebDocs) January 25, 2021
Open Web Docsの設立スポンサーは、Google、マイクロソフト、そしてコンテンツのマネタイズサービスを提供しているCoilの3社。さらにOpen Collectiveの支援者、Mozilla、サムスン、W3Cなども追加支援を表明しています。
We’re proud to welcome Open Web Docs, a collective created to support a sustainable path forward for the development and maintenance of web developer documentation. https://t.co/ysBBkINpzB https://t.co/x0S7LeO7C0
— Microsoft Edge Dev (@MSEdgeDev) January 25, 2021
We’re excited to publicly introduce Open Web Docs, a collective project between Google, Microsoft, Mozilla, Coil, W3C, Samsung and Igalia!
— Chrome Developers (@ChromiumDev) January 25, 2021
Supporting a community of technical writers around strategic creation and long-term maintenance of web platform technology documentation. https://t.co/pXLBNmeL1t
More ♥ coming to Web documentation with @OpenWebDocs! https://t.co/I1ixtsxXiF
— W3C Developers (@w3cdevs) January 25, 2021
Open Web DocsはWeb技術のドキュメント化を長期的に支援する目的で立ち上げられました。具体的にはOpen Web Docsが何らかのドキュメントプラットフォームを立ち上げるのではなく、さまざまなコミュニティの取り組みなどを支援していくとしています。
なかでも今年はまず、MozillaのMDNの支援を優先事項として取り組むと「Introducing Open Web Docs」で次のように示しています。
Our 2021 priorities include working with Mozilla’s MDN writers and engineers to support the recent infrastructure transition and to prioritize and move forward with key documentation work, developing a community of contributors around core web technology documentation, browser compatibility data, and improving JavaScript documentation.
私たちの2021年の優先事項は、MozillaのMDNのライターやエンジニアと協力し、新しいインフラストラクチャへの移行をサポートし、重要なドキュメンテーション作業に優先順位をつけて前進すること。そして、コアなWeb技術のドキュメンテーション、ブラウザの互換性データ、JavaScriptのドキュメンテーションの改善を中心としたコントリビュータのコミュニティを発展させることです。
2020年にMDNは縮小されていた
MDNは、2017年にマイクロソフトやGoogle、W3Cなどが協力してWeb標準のリファレンスとして一本化されたドキュメントを提供している重要な情報源です。
しかしMozillaは2020年、新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響をおもな理由として財政状況が悪化していることを明らかにし、大規模リストラに踏み切っていました。
参考:Mozillaが大規模リストラ。「すべてが無料だった古いモデルには結論が出た」として今後は新たなビジネスモデルを模索すると
このときにMDNチームもリストラ対象となり、MDNは存続するもののチームは縮小を余儀なくされています。
MDN as a website isn't going anywhere right now. The team is smaller, but the site exists and isn't going away. We will be working with partners and community members to find the right ways to move it forward given our new structure at Mozilla.
— MDN Web Docs (@MozDevNet) August 12, 2020
今回のOpen Web Docの取り組みとしてまずMDNへの注力が優先されたのは、縮小されたMDNチームを補う意味があったのではないかと推察されます。
一般的に、オープンソースやWeb標準の開発においてコードの貢献は目立つものの、ドキュメントの作成とメンテナンスは目立ちにくくコントリビューターが集まりにくい分野とされています。
Open Web Docが目指すWeb技術におけるドキュメントの長期的な維持と発展が、こうした部分をうまく補う一助になることを期待したいと思います。
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