ずっと無料で使えるクラウドの「Free Tier」主要サービスまとめ。2021年版

2021年6月21日

いくつかのクラウドサービスでは、1年程度の無料トライアルや一定額のクーポンなどに加えて、期間の制限なくずっと無料で使える、いわゆる「Free Tier」や「Always Free」と呼ばれる無料枠のサービスが提供されています。

こうした無料枠は試行用の環境や一時的なテスト環境などとして、期間を気にせずサービスを試すうえで非常に有効です。

もちろん、無料提供サービスは提供側の都合によってある日突然終了することもあり得ますが、いまのところ1年前の記事「ずっと無料で使えるクラウドの「Free Tier」主要サービスまとめ。2020年版」で紹介したサービスで終了したものはないようです。

本記事では期限の制限なくFree TierやAlways Freeとして提供されている主なサービスを、2021年版としてまとめました。

Amazon Web Services(AWS)

AWS 無料利用枠」のWebページを開き、左側にあるフィルター条件で「無期限無料」をチェックすることで、無期限に無料で提供されるサービスの一覧を見ることができます

fig

AWS Lambda
サーバレスコンピューティングの実行環境を提供します。 1カ月あたり100万リクエスト、最大320万秒コンピューティング時間まで利用可能。

Amazon DynamoDB
スケーラブルなNoSQLデータベースサービスです。 25GBストレージのストレージ容量、25 個のプロビジョニングされた書き込みキャパシティーユニット (WCU)、25 個のプロビジョニングされた読み込みキャパシティーユニット (RCU)まで利用可能。

Amazon SNS
マネージドなプッシュメッセージングサービスです。 100万件の発行、10万件のHTTP/S配信、1000件のメール配信が可能。

Amazon SQS
メッセージを格納するためのスケーラブルなキューです。
100万件のリクエストが利用可能。

Amazon CloudWatch AWS のクラウドリソースとアプリケーションのモニタリングを行います。 10カスタムメトリクスおよび10アラーム、100万件のAPI リクエスト、5GBのログデータの取り込みおよび 5GBのログデータのアーカイブ、毎月最大 50 メトリクスのダッシュボード3個まで利用可能です。

Microsoft Azure

Azure の無料アカウントを今すぐ作成しましょう | Microsoft Azure」のWebページを開き、スクロールして「いつでも無料なのは、どの製品ですか。」の画面で、無期限に無料で提供されるサービスの一覧を見ることができます。

fig2

Azure App Service
.NET、Java、Node.js、Python、PHP、Rubyなどのプログラミング言語を用いたアプリケーションを実行できます。
10個までのWebアプリやモバイルアプリ、APIアプリを、1GBメモリ、1GBストレージまで利用可能。

Azure Functions
サーバレスコンピューティングの実行環境を提供します。
1カ月あたり100万回の実行が可能。

Azure Cosmos DB
グローバルに分散するマルチモデル データベースサービス。
25GBストレージ容量と1秒あたり最大400RUスループットまで利用可能。RUとはRequest Unit=要求ユニットのことで、1RUは1KBのアイテムを読み取るコストに相当します。

Azure DevOps
GitのリポジトリやCI/CD、ビルドおよびリリースの自動化機能などを提供します。 5ユーザーまで無制限のプライベートGitリポジトリが利用可能。

そのほかAzure Kubernetes Service、Event GridやDevTest Labsなど多くのサービスが無期限無料で提供されています。詳細な利用条件や制限などはMicrsoft AzureのWebサイトでご確認ください。

Google Cloud

無料トライアルと無料枠 | Google Cloud」のページの「無料枠プロダクト」で、無期限に無料で提供されるサービスの一覧を見ることができます。

fig3

おもに次のようなサービスが無期限無料で提供されています。

Google Compute Engine
仮想マシンを提供します。
0.2仮想CPU、0.6GBメモリ、30GBストレージを備えたf1-microインスタンスが利用可能。

Google Cloud Functions
サーバレスコンピューティングの実行環境です。
1カ月あたり200万回の呼び出し、40万GB秒のメモリ、20万GHz秒のコンピューティング時間、5GBの下りネットワークが利用可能。

Google Cloud Run
ステートレスコンテナを実行できるマネージドサービスです。
1カ月あたり200万回のリクエスト処理、36万GB秒のメモリ、18万vCPU秒のコンピューティング時間が利用可能。

Google App Engine
高度なスケーラビリティを備えたサーバレスなアプリケーション実行環境。
1日あたり28時間文のFインスタンスが利用可能。

Google Cloud Storage
高速なアクセスから低速で安価なアクセスまで対応するオブジェクトストレージ。
5GB月のストレージ容量、1カ月あたり5000回のクラスAオペレーション、5万回のクラスBオペレーションが利用可能。

Google Firestore
スケーラブルなNoSQLドキュメント データベース。
1GBストレージと、1日あたり5万回の読み取りオペレーション、2万回の書き込みオペレーション、2万回の削除オペレーションが利用可能。

Google BigQuery
大規模なデータウェアハウスを提供します。
10GBストレージと1カ月あたり1TBクエリ使用量が利用可能。

Google Cloud Build
高速で信頼性の高いビルドの実行環境。*
1日あたり120ビルド分数が利用可能。

Google Cloud Source Repositories
プライベートGitリポジトリ。
最大5ユーザーまで、50GBのストレージが利用可能。

そのほかGoogle Kubernetes Engine、Cloud Pub/SubやVideo Intelligence APIなど多くのサービスが無期限無料で提供されています。詳細な利用条件や制限などはGoogle CloudのWebサイトでご確認ください。

Oracle Cloud

Oracle Cloud Free Tier | Oracle 日本」のWebページを開き、スクロールして表れる「常時無償のクラウド・サービスにはどのようなものがありますか?」の項目に、Free Tierの概要が説明されています。

fig4

おもに次のようなサービスが無期限無料で提供されています。

Oracle Cloud Compute
仮想マシンを提供します。
AMDプロセッサベースの、1/8OCPUと1GBのメモリーを搭載した2つの仮想マシン(OCPUとは、ハイパースレッディングが有効なXeonプロセッサの1物理コア相当のCPU性能)

ArmベースのAmpere A1コアを4つ搭載した24GBメモリのマシンで、仮想マシンを最大4つまで利用可能。

Oracle Cloud Storage
オブジェクトストレージを提供します。
合計100GBまでの2つのブロックストレージボリューム。10GBのオブジェクトストレージ。10GBのアーカイブストレージ。

Oracle Autonomouse Database
トランザクション処理に向いた「Autonomous Transaction Processing」と、データウェアハウスに向いた「Autonomous Data Warehouse」をマネージドサービスとして提供します。
合計2つのデータベースそれぞれに1OCPUと20GBのストレージを利用可能。1カ月あたりの読み取り数が1億3300万、1カ月あたりの書き込み数が1億3300万、1テーブルあたりのストレージが25GB、最大3つのテーブルを備えるNoSQLデータベース。

Oracle Cloud Infrastructure Load Balancing ネットワークのロードバランサーを提供します。
10Mbpsの帯域幅を持つ1つのインスタンスが利用可能。1か月あたり10TBまでのアウトバウンドデータ転送。

そのほか監視、通知、メール配信なのサービスが無期限無料で提供されています。詳細な利用条件や制限などはOracle CloudのWebサイトでご確認ください。

IBM Cloud

IBM Cloudには、「ライト・アカウント」と呼ばれるFree Tier専用のアカウントを作ることができます。ライト・アカウントはクレジットカードの登録不要で無期限の無料サービスを利用可能です。

無料で使えるIBM Cloud サービス」のWebページを開き、「無料のIBM Cloudサービス」の「ライト」の項目を選択すると、ライト・アカウントで利用可能なサービスの一覧を見ることができます。

fig5

おもに次のようなサービスが無期限無料で提供されています。

Cloud Foundry
Java、Node.js、ASP.NET Core、Go、PHP、Python、Ruby、Runtime for Swift、Tomcatの実行環境を備えたPaaSです。
最大256MBのメモリを利用可能。ただし開発が非アクティブになると10日後にスリープ状態になります。

IBM Cloud Functions IBM Cloud上でサーバレスコンピューティングを提供します。
1カ月あたり500万回の関数実行が可能

IBM Cloud Object Storage
オブジェクトストレージを提供します。
25GBの容量まで利用可能。

IBM Db2 on Cloud
リレーショナルデータベースのDb2をマネージドサービスで提供します。
100MBのデータストレージが利用可能。

IBM Cloudant
フルマネージド型の分散JSON文書データベース。
1GBのデータストレージが利用可能。

そのほかログ分析、Activity TrackerやAnalytics Engineなど多くのサービスが無期限無料で提供されています。詳細な利用条件や制限などはIBM CloudのWebサイトでご確認ください。

Heroku

Heroku の価格」のページを開くと「無料・ホビー」の項目に無期限無料で利用できる「Free」の項目が説明されています。

fig6

おもに次のようなサービスが無期限無料で提供されています。

Dyno コードを実行するためのコンテナを提供します。
512MBメモリを搭載したWeb DynoとWorker Dynoの合わせて2つのDynoを、1カ月あたり550時間分、クレジットカードを登録すると1000時間分が利用可能。ただし30 分間アクセスがなかった場合はスリープ。

Heroku Postgres
PostgreSQLデータベースをマネージドサービスで提供します。
データを1万行まで、同時接続数20まで利用可能。

Heroku Redis
インメモリのキーバリューストアであるRedisをマネージドサービスで提供します。
最大25MBの容量、最大コネクション20まで利用可能です。

詳細な利用条件や制限などはHerokuのWebサイトでご確認ください。

MongoDB Atlas

Pricing | MongoDB」のWebページに無料で利用できる機能の説明があります。

fig7

次のサービスが無期限無料で提供されています。

MongoDB Atlas NoSQLデータベースのMongoDBをマネージドサービスで提供します。
512MBストレージでレプリカセットによる高可用性を備えたMongoDBが利用可能です。

詳細な利用条件や制限などはMongoDBのWebサイトでご確認ください。

Netlify

Netlify Pricing and Plans」のWebページを開くと、無料のStarterプランが紹介されています。

fig8

次のサービスが無期限無料で提供されています。

Netlify
静的Webサイトのホスティングとソースコードからのビルドを行います。
1カ月あたり100GBの帯域、300分のビルド時間などが利用可能です。

詳細な利用条件や制限などはNetlifyのWebサイトでご確認ください。

Confluent

Scalable pricing for every budget」 のBasicプランに無料で利用できる範囲が紹介されています。

fig9

Confluent Cloud
Apache Kafkaをクラウド上のマネージドサービスとして提供するサービスです。
5TBストレージ、最初の10パーティション、コネクタ当たり1タスク、単一アベイラビリティゾーン、可用性99.5%のSLAなどの条件で利用可能になっています。

詳細な利用条件や制限などはConfluentのWebサイトでご確認ください。

SendGrid

Pricing and Plans | SendGrid」のWebページで、Freeプランが紹介されています。

fig10

SendGrid
電子メール配信サービスが提供されます。
1日あたり100通までの配信。APIとSMTPリレーおよびWebhooksなどによる連携、テンプレートエディタ、分析ツール、最適化ツールなどが利用可能です。

詳細な利用条件や制限などはSendGridのWebサイトでご確認ください。

Datadog

料金 | Datadog」のWebページに、Freeプランが紹介されています。

fig11

Datadog
メトリクスやログを用いた統合監視ツールがマネージドサービスとしてて供されます。
最大5ホストのイベントと標準メトリクスの分析とダッシュボード、1日分のメトリクスを保存可能です。

詳細な利用条件や制限などはDatadogのWebサイトでご確認ください。

Grafana Labs

Pricing - Grafana Cloud | Grafana Labs」のWebページで、Grafana CloudのFreeプランが紹介されています。

fig12

Grafana Cloud
ログやデータなどを可視化するためのツールがマネージドサービスとして提供されます。
50GBのログ、50GBのトレース、PrometheusもしくはGraphiteのための1万シリーズのメトリクス、3人までのメンバーからのアクセスなどが利用可能です。

詳細な利用条件や制限などはGrafana LabsのWebサイトでご確認ください。

Cloudflare

Our Plans | Pricing | Cloudflare」のWebページを開くと、Freeプランが紹介されています。

fig13

次のサービスが無期限無料で提供されています。

Cloudflare for Individuals
DDoS攻撃の緩和、グローバルなCDNの提供、100kまでのWorkersおよび30スクリプトまでの実行、メールでのサポートなどが無料で提供されます。

詳細な利用条件や制限などはCloudflareのWebサイトでご確認ください。

Akamai

無料でお試し:Page Integrity Manager」のページで、Page Integrity Managerの無料提供が紹介されています。

fig

次のサービスが無期限無料で提供されています。

Page Integrity Manager
脆弱性を含むスクリプトや、不用意に情報を取得しようとするスクリプトのブラウザ内でのふるまいをリアルタイムで検知し緩和できる。

詳細な利用条件や制限などはAkamaiのWebサイトでご確認ください。

GitHub

Choose the plan that’s right for you.」のWebページを開くと、Freeプランが紹介されています。

fig14

次のサービスが無期限無料で提供されています。

GitHub
ソースコード管理ツールとして、無制限のパブリックリポジトリとプライベートリポジトリの作成、パブリックリポジトリでの1カ月あたり2000分のオートメーション、パブリックリポジトリでの500MBのパッケージ用ストレージなど。

詳細な利用条件や制限などはGitHubのWebサイトでご確認ください。

GitLab

GitLab Pricing | GitLab」のWebページを開くと、Freeプランが紹介されています。

fig15

次のサービスが無期限無料で提供されています。

GitLab
ソースコード管理ツールやDevOpsツールとして、無制限のパブリックプロジェクトとプライベートプロジェクトの作成、無制限のコラボレーター。1カ月あたり2000分までのCI実行。プロジェクト課題ボード、Wikiによるプロジェクトのドキュメントなど。

詳細な利用条件や制限などはGitLabのWebサイトでご確認ください。

CircleCI

弊社 CI ツールの料金プラン | CircleCI - CircleCI」のWebページを開くと、Freeプランが紹介されています。

fig16

次のサービスが無期限無料で提供されています。

Circle CI
CIツールとして、Linux(x64、Arm64)およびWindowsプロジェクトのビルド、1週間当たり2500クレジット、並列処理可能なジョブ数は1つ。

詳細な利用条件や制限などはCircleCIのWebサイトでご確認ください。

追記(2022/1/13):CircleCIが無料枠の拡大を発表しました。

参考:CircleCIが無料枠を大幅拡大。1カ月あたり6000分のビルド時間、ユーザー数無制限、最大30件までのジョブ同時実行など

ほかにも無期限無料のサービスがあれば教えてください。

これ以外にも無期限無料で提供されているクラウドサービス(おもにIaaSやPaaS、開発者向けサービスなど)があれば、Twitterやメールなどで教えていただけると嬉しいです。今後も毎年この時期にアップデートした情報を記事化していきたいと思います。

あわせて読みたい

AWS Google Cloud Microsoft Azure クラウド Cloudflare GitHub GitLab Heroku IBM Cloud MongoDB Oracle Cloud




タグクラウド

クラウド
AWS / Azure / Google Cloud
クラウドネイティブ / サーバレス
クラウドのシェア / クラウドの障害

コンテナ型仮想化

プログラミング言語
JavaScript / Java / .NET
WebAssembly / Web標準
開発ツール / テスト・品質

アジャイル開発 / スクラム / DevOps

データベース / 機械学習・AI
RDB / NoSQL

ネットワーク / セキュリティ
HTTP / QUIC

OS / Windows / Linux / 仮想化
サーバ / ストレージ / ハードウェア

ITエンジニアの給与・年収 / 働き方

殿堂入り / おもしろ / 編集後記

全てのタグを見る

Blogger in Chief

photo of jniino

Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed

最新記事10本