Docker社、Docker Hubのソースコードの一部を「Docker Distribution」としてCloud Native Computing Foundationに寄贈
Docker社は、同社が提供しているDockerコンテナのレジストリサービス「Docker Hub」のソースコードの一部であり、さまざまなDockerコンテナレジストリサービスのリファレンス実装にもなっている「Docker Distribution」を、Cloud Native Computing Foundationに寄贈したことを発表しました。
Docker HubはDockerコンテナのイメージを登録し、検索し、引き出すことのできるレジストリサービスです。
こうした、いわゆるDockerコンテナレジストリのサービスは、現在ではDocker社以外にもさまざまなクラウドベンダやソフトウェアベンダが提供しています。その事実上のベースとなっているのが、Docker社がオープンソースで公開している、このDocker Distributionだと説明されています。
すでにこのソースコードは事実上の標準となっていますが、しかし各社のDockerレジストリはそれぞれ個別に拡張され、それがアップストリームに反映されないことが判明しました。
そのため、Dockerレジストリコンテナの拡張を業界全体の努力としてまとめるために、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)へ寄贈するのだと、今回の理由が説明されています。
「Donating Docker Distribution to the CNCF」から引用します。
Many of these are based on the code in Docker Distribution, but we found that many people had small forks and changes that they were not contributing to the upstream version, and the project needed a broader group of maintainers. To make the project clearly an industry wide collaboration, hosting it in the CNCF was the obvious place, as it is the home of many successful collaborative projects, such as Kubernetes and Containerd.
現在、多くの企業や組織が社内で、あるいはサービスとしてレジストリを提供しており、多くのレジストリが存在しています。これらの多くはDocker Distributionのコードをベースにしていますが、その多くで小さなフォークや変更が行われ、アップストリームのバージョンへの貢献も行われず、プロジェクトにはより広いメンテナのグループが必要でした。
そこで、このプロジェクトを明確な業界全体での共同作業にするため、KubernetesやContainerdなど多くの成功した共同作業プロジェクトの本拠地であるCNCFでホスティングすることにしました。
すでにCNCFはこれを「Distribution」という名称のサンドボックスプロジェクトとして受け入れており、今後より積極的なコントリビューションが行われていくことが期待されています。
Docker社は現在、Docker DesktopをはじめとするDockerコンテナをベースにしたさまざまなデベロッパー向けのツールに注力しており、今後Docker Hubを開発者のエコシステムの中核にするという方向性を明らかにしています。
そのために、はDocker Hubが引き続きパブリックなDockerコンテナのレジストリとしての事実上の標準であることは同社にとって大事なことであるといえるでしょう。今回の発表には、同社のそうした思惑も関係しているのかもしれません。
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