Cloudflare、CDNエッジで使えるオブジェクトストレージ「R2」発表。Amazon S3互換、読み出しの帯域コストなし、イレブンナインの信頼性
Cloudflareは、同社のCDNエッジで実行されるワーカープロセス「Cloudflare Workers」などから使えるAmazon S3互換のオブジェクトストレージ「Cloudflare R2 Storage」を発表しました。
Announcing Cloudflare R2 Storage: Rapid and Reliable Object Storage, minus the egress fees. https://t.co/U2dVhVSb2U #BirthdayWeek
— Cloudflare (@Cloudflare) September 28, 2021
Cloudflare R2の特徴は、イレブンナインの信頼性を提供するオブジェクトストレージでありながら、読み出しにかかるネットワーク帯域のコストをなくしていることやデータ保存コストを安価に提供していることなどです。
名称に使われている「R2」は、おそらくAmazon S3の「S3」よりも1つずつ前の文字にすることで、優位性を示したのではないかと想像されます。
Cloudflare R2 Storageは読み込みの帯域コストをなしに
Cloudflareは以前からAmazon S3のデータ転送コストが高すぎることを指摘しており、Cloudflare R2では読み出しにかかる帯域コストをなくしているとしています。
「Announcing Cloudflare R2 Storage: Rapid and Reliable Object Storage, minus the egress fees」から一部を引用します。
Egress bandwidth is often the largest charge for developers utilizing object storage and is also the hardest charge to predict. Eliminating it is a huge win for open-access to data stored in the cloud.
読み出しにかかる帯域コストは、しばしばオブジェクトストレージを利用する上で最大の料金となり、かつ予測が難しいものでもあります。これをなくしたことは、クラウドに保存したデータへのオープンなアクセスに対する大いなる優位点でしょう。
That doesn’t mean we are shifting bandwidth costs elsewhere. Cloudflare R2 will be priced at $0.015 per GB of data stored per month — significantly cheaper than major incumbent providers.
だからといって帯域にかかるコストを別の場所に移転したわけではありません。Cloudflare R2は1カ月あたり1GBの保存データに対して0.015ドルの価格を予定しています。これは既存の大手プロバイダーよりも大幅に安い価格です。
CloudflareはAmazon S3からの移行ツールも提供する予定で、移行によりAmazon S3よりコストが圧縮できるとしています。
オブジェクトストレージとしての信頼性はイレブンナイン(99.999999999%)を予定しており、アクセスが多いリージョンのデータセンターには自動的にデータの複数を作成することでアクセス性能を高めるとのこと。また、データの管轄地域を開発者が管理できるようなAPIも提供するとしています。
Cloudflare Workersから利用可能
Cloudflareでは、CDNエッジでJavaScriptをService Worker互換のAPIで実行できるサービス「Cloudflare Workers」を提供しています。Coudflare Workersは、RustやC/C++などもサポートしており、これらからAmazon S3互換のAPIでオブジェクトストレージのCloudflare R2にアクセスできるようになります。
CDNのエッジに動画やドキュメントなどの大容量のファイルをキャッシュとして保存する用途などにも適しており、これにより通常のキャッシュよりも長期間、大容量のファイルを高速にアクセスできるようにすることも可能とのこと。
Cloudflare R2は現在開発中で、利用希望者への申し込み画面を公開しています。
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