クラウドインフラ市場、AWSのシェアトップは変わらず。アリババ、Tencent、Baiduら中国勢が高い成長を見せる。2021年第1四半期、Synergy Research Group
米調査会社のSynergy Research Groupは、2021年第1四半期のクラウドインフラに関する調査結果を発表しました。
クラウドインフラとは、IaaS、PaaS、ホステッドプライベートクラウドを合わせたものと同社は定義しており、過去1年で市場全体が37%成長、市場規模は約39ビリオンドル(390億ドル、日本円で約4.3兆円)に拡大しました。
前四半期(2020年第4四半期)では過去1年の成長率が35%でしたので、ここへきてクラウドインフラ市場は成長率を一段と高めたことが分かります。
下記はSynergy Research Groupが発表したクラウドインフラ市場を示した図です。右に行くほどシェアが高く、上に行くほど成長率が高いことを示しています。
まずは横方向に図を見ると、一番右にあるAmazon Web Services(AWS)がクラウドインフラ市場のトップシェアを握っています。シェアの数値は明示的に示されてはいませんが、31%前後と見られます。
AWSの左上にある大きな円が、2番手としてAWSを猛追するマイクロソフト。Synergy Research GroupはマイクロソフトとAWSのシェアの差がこの1年で2%縮まったと分析しており、おそらく現時点でマイクロソフトのシェアは20%程度と見られます。
3位はGoogle、4位はアリババ、5位はIBMとなっています。シェアはそれぞれ10%、7%、4%前後とみられます。
一方で図の真ん中を横切る点線が、市場全体の成長率の平均を示しています。つまりこの点線から上にあるベンダはシェアを伸ばし、この点線の下にあるベンダはシェアを減らすことになるわけです。
AWSは点線よりやや下にあり、ゆるやかにシェアを減らしつつあります。
一方、マイクロソフトはAWSよりも高い成長率を維持し続けており、追撃の手を緩めません。3位のGoogleはマイクロソフトの成長率を下回っているため、2位マイクロソフトと3位Googleの差はいまのところ開くことはあっても縮まることはなさそうです。
不気味なのは、左上に位置するアリババ、Tencent、Baiduといった中国勢でしょう。いずれもマイクロソフトと同程度かそれ以上の高い成長率を示しています。いまのところこれらは中国国内でのシェアと成長率を背景にしたものと見られます。今後グローバル市場でどのような存在感を見せるのかは注目すべきところでしょう。
左下に位置するベンダ群をSynergy Research Groupでは特定の強みを持ったニッチプレイヤーと位置づけています。そのなかではオラクルが成長率の面で頑張りを見せているようで、ここから同社が抜け出せるかどうかも大きな注目点でしょう。
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