AWS上でOpenShiftのマネージドサービス提供、「Red Hat OpenShift Service on AWS」正式リリース
AWSとRed Hatは、AWS上でRed Hat OpenShiftをマネージドサービスとして提供する「Red Hat OpenShift Service on AWS」(ROSA)を正式リリースしたと発表しました。
#RedHat and @awscloud announce the general availability of Red Hat @OpenShift Service on AWS. Get the details on ROSA: https://t.co/oetQJANDhe. pic.twitter.com/p7ROkh0ZnI
— Red Hat, Inc. (@RedHat) March 24, 2021
Red Hat OpenShiftはKubernetesを中心としたクラウドネイティブのためのコンテナ基盤ソフトウェアです。ROSAはこれがAWS上でマネージドサービスとして提供されるというもの。
オンプレミス上で構築したOpenShiftによるコンテナ基盤と同じものがAWS上で提供されるため、顧客にとってはオンプレミスとAWSでシームレスなKubernetes環境を簡単に構築できるうえ、管理もOpenShiftのコンソールに統合できるなど、ハイブリッドクラウド構築が容易になります。
さらにROSAからはAWSの各種サービスも利用できるため、例えば機械学習処理やGlacierによるデータ保存など、クラウドが得意とする処理をうまく取り込むことも容易になります。
競合が入り乱れるKubernetesによるクラウドネイティブ基盤
Red HatはすでにMicrosoft Azure上でOpenShiftのマネージドサービス「Azure Red Hat OpenShift」を提供しています。今回のAWS上でのROSAの提供は、OpenShiftによるハイブリッドクラウド構築をまた1つ促進するものとなるでしょう。
しかしKuberentesを中心としたクラウドネイティブ基盤をめぐっては、Red HatのOpenShift、KubernetesをvSphereに統合したVMware vSphere/VMware Tanzu、Rancher Labsを買収したSUSE、DockerからDocker Enterpriseを買収したMirantisなど、大手ソフトウェアベンダがそれぞれ競合製品を展開しています。
それだけでなくGoogleのAnthos、マイクロソフトのAzure Arcなど、クラウドベンダもKubernetes基盤を発表し、サードパーティと手を組んでオンプレミスでも展開して、前述のソフトウェアベンダらとも競合を始めています。
今回のROSAの提供は、こうした中でRed HatにとってAWSと手を組むことで優位に立とうとする展開といえます。
一方、AWSはVMwareともRed Hatのどちらとも提携してマネージドサービスを提供するというニュートラルな立場を保とうとしています。
しかもAnthosやAzure Arcもクラウドで圧倒的なシェアを持つAWSを無視することはできず、AnthosやAzure Arcの方でAWSをサポートすることになるため、結局AWSはどのクラウドネイティブ基盤もその上で提供されることになるでしょう。
AWSはこうした自身の強いポジションを理解しているために、あえてニュートラルな立場を保ってさまざまなベンダやサードパーティとの連係を進めるのだと見らます。
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