マイクロソフト、WebIDEの「Visual Studio Codespaecs」を「GitHub Codespaces」に統合へ
マイクロソフトはWebブラウザで利用可能な統合開発環境、いわゆるWebIDEの「Visual Studio Codespaces」を、GitHubで提供を予定しているWebIDEの「GitHub Codespace」へ統合することを発表しました。
Visual Studio Codespacesは、2019年5月に行われたMicrosoft Build 2019でVisual Studioファミリーのなかで、Web版のVisual Studioの位置づけとなる「Visual Studio Online」として発表され、その1年後の今年2020年5月に「Visual Studio Codespaces」と名称変更され、パブリックプレビューとして利用可能になりました。
Visual Studio Codespacesは、Visual Studio Codeをベースにしているため、既存のVisual Studio Codeの拡張機能が利用可能。
機械学習がコーディングを支援してくれる「IntelliCode」、Visual Studioファミリー製品のあいだでリアルタイムにコードの編集やデバッグ操作などを共有できる「Live Share」機能などが最初から搭載されています。
すぐ使えるサービスとして提供されているのではなく、利用時にはMicrosoft Azure上にユーザー自身のインスタンスがプロビジョニングされ、そこにVisual Studio Codespaceが自動デプロイされ、起動して利用可能になる、という少々ややこしい利用方法となっていました(そのため利用料金はプロビジョニング時に選択されたインスタンスのCPU性能とメモリ容量に依存していました)。
Visual Studio CodespacesとGitHub Codespaces
今回発表されたのは、このVisual Studio Codeのパブリックプレビューが、同内容のサービスとしてGitHubがアーリーアクセス版として提供していた「GitHub Codespaces」に統合される、ということです。
GitHub Codespacesは、今年5月に行われたGitHubの年次イベント「GitHub Satellite 2020」で、Visual Studio Codespaceの発表と同日に発表されています。
Introducing GitHub Codespaces, a complete dev environment within GitHub that lets you contribute immediately. You’ll be up and developing in less time than it takes to read this post. #GitHubSatellite pic.twitter.com/RIt7rRbzpP
— GitHub (@github) May 6, 2020
「Codespacs」の名前が共通している通り、機能は実質的にVisual Studio Codespacesと共通のものです。
ただしGitHub CodespacesはGitHubに統合されており、GitHubのWebページからワンクリックで開発環境が起動し、コードの編集やデバッグが簡単にできるようになります。あらかじめ用意されたCPUやメモリに従った基本の利用料金に加え、オプションでCPUやメモリ、GPUなどを高性能化できる予定とされています。
リポジトリからCodespaceへの遷移が重要だと
この別々に発表された2つのCodespacesサービスをなぜGitHub Codespacesに統合することにしたのか、その理由について、今回の発表が行われたブログ「Visual Studio Codespaces is consolidating into GitHub Codespaces」では、2つの似たサービスが混乱を引き起こしたことに触れつつ、開発ワークフローにおいて、コードのリポジトリからCodespaceへと遷移することが利用者にとって重要なことだと分かったからだと、次のように説明しています。
During the preview we’ve learned that transitioning from a repository to a codespace is the most critical piece of your workflow and the vast majority of you preferred a richly integrated, native, one-click experience. Since GitHub is the home of 50M developers, it made sense to partner with them to address this feedback.
プレビューの期間で、リポジトリからCodespaceへの遷移がワークフローの中で最も重要な部分であり、大多数の人がリッチで、統合された、ネイティブなワンクリックでの体験を好んでいることが分かりました。
GitHubは5000万人の開発者の住処であり、このフィードバックに対応するために彼らとパートナーを組むことは理にかなっていました。
計画では、9月4日からVisual Studio CodespacesからGitHub Spacesへの移行がスタート。11月20日にVisual Studio Codespacesで新規プロジェクトが作成できなくなり、新規ユーザーの登録もできなくなります。そして2021年2月17日にはVisual Studio Codespacesが終了する予定となっています。
関連記事
あわせて読みたい
無料で読めるITまんが/Mozillaが大規模リストラ/先進テクノロジのハイプ・サイクル:2020年ほか、2020年8月の人気記事
≪前の記事
「Azure Spring Cloud」正式リリース。JavaフレームワークSpring Bootの開発と実行のためのフルマネージド環境