vSphereにKubernetesを統合した「vSphere with Tanzu」、VMwareが発表

2020年9月16日

VMwareは、vSphereにKubernetesを統合した「vSphere with Tanzu」を発表しました

VMwareは、仮想化ハイパーバイザであるvSphereにKubernetesを統合する「Project Pacific」を2019年8月に開催したイベント「VMWorld 2019 US」で発表し、vSphereを仮想マシンだけでなくKubernetesのプラットフォームにするというビジョンを明らかにしていました。

このProject Pacificは今年、2020年3月に発表されたvSphereの最新バージョン「vSphere 7」において、「vSphere with Kubernetes」として実現することになります。

参考:[速報]VMware、Kubernetesに対応した「vSphere 7」発表。vSphere上で仮想マシンとKubernetes環境が共存

しかしこれは正確にはvSphere単体ではなく、vSphere、vSAN、NSX-Tなどを統合したクラウド基盤ソフトウェア群「VMware Cloud Foundation 4」にKubernetesを統合したものとして実現されました。

今回発表された「vSphere with Tanzu」はついに当初期待された通りの、vSphere 7単体でKubernetesとの統合を実現した製品となります。

vSphere with Tanzuは、vSphere 7のアップデート版となる「vSphere 7 update 1」の一部として提供されるため、既存のストレージやネットワークはそのまま、vSphere環境をアップデートすることで容易に導入可能となります。VMwareはこれを「The fastest way to get started with Kubernetes」(Kubernetesをはじめる最も手っ取り早い方法)とうたっています。

vSphere with Tanzuの「Tanzu」は、VMwareのKubernetes関連ソフトウェアのブランドと言えます。

参考:「VMware Tanzu」(箪笥、たんす)発表。Kubernetes対応ソフトウェアの開発支援ツールおよびサービス群。VMworld 2019 US - Publickey

今回発表されたvSphere with Tanzuには、VMwareによるKubernetesディストリビューションである「Tanzu Kubernetes Grid」が含まれています。

VMwareはTanzu製品群によってVMware環境上のKubernetesだけでなくAWSのAmazon EKS、AzureのAKS、GoogleのGKEなど他社クラウドのKubernetes環境も統合することで、Kubernetesをクラウドの抽象化レイヤにし、マルチクラウドを実現しようとしています。

ただし、こうしたTanzuによるマルチクラウドの実現にはクラウド基盤ソフトウェア群「VMware Cloud Foundation 4」にTanzu/Kubernetesを統合したものの方が向いており、今回のvSphere with Tanzuに関しては、どちらかといえば開発環境のためにシンプルなKubernetes環境を迅速に構築し、柔軟に運用する、という目的のために提供しているように見えます。

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