米国トヨタ、ローコード/ノーコード開発ツールやRPAで現場改善を実現。マイクロソフトが事例として紹介。Ignite 2020
マイクロソフトは同社がオンラインで開催中の年次イベント「Microsoft Ignite 2020」で、米国トヨタ(Toyota Moter North America)がローコード/ノーコード開発ツールやRPAを用いて開発したアプリケーションで現場を改善した事例を基調講演で紹介しました。
マイクロソフトが紹介した米国トヨタの事例は、ビジネスの場面でローコード/ノーコード開発ツールやRPAがどう役立つのか、そしてシチズンデベロッパーとプロフェッショナルデベロッパーがローコード/ノーコード開発ツールを軸にアプリケーション開発を協力して行う手段についても触れられています。
この記事ではその内容をダイジェストで紹介しましょう。
現場の作業が大きく改善されたモバイルアプリ開発
米国トヨタでは、中古車として販売される自動車のアクセサリーが適切に取り付けられているか、顧客の手に渡る前の出荷前チェックが求められていました。
しかし現実には、出荷される中古車の10%以下にしかチェックが行われていないという問題を抱えていたのです。
問題を引き起こしている 原因の1つが、企業内ネットワークに接続されたPCのWebブラウザでしかチェック項目を確認し結果を入力できない業務用アプリケーションにありました。
そこで同社はマイクロソフトのローコード/ノーコード開発ツールのPower Appsでモバイルアプリケーションを開発。モバイルワーカーが現場で簡単にチェック用アプリケーションを参照できるようにしました。
チェックすべき自動車の外観、付属されているべきアクセサリーなどが確認でき、担当者がチェックしたことを記録できます。
さらに実際に付属しているアクセサリーの写真をアップロードすると、画像認識機能により、それが正しいアクセサリーかどうかも確認可能。
このモバイルアプリが開発できたことで、全米5000以上のディーラーですべてのフィールドエンジニアがこれを使えるようになり、正確に出荷前のチェックができるように改善されたとのこと。
Power Appsの開発環境がMicrosoft Teamsからも利用可能に
Power Appsの開発環境であるPower Apps StudioはWebブラウザから利用可能。画面左には、アプリケーション用のデータソースが並びます(データソースの設定はあらかじめ情報部門などが行う)。
新たな機能として、Microsoft TeamsからPower Apps Studioが利用可能になりました。これでMicrosoft Teams内から誰でも簡単にローコード/ノーコード開発を行えるように。
Power AutomateのRPA機能でレガシーなWebアプリケーションと連携
もともとレガシーなWebアプリケーションが使いにくいために、新たにPower Appsでモバイルアプリケーションを開発されたわけです。
このモバイルアプリケーションとレガシーなWebアプリケーションの接続に使われるのが、RPA機能を搭載した「Power Automate」です。
Power Automateの自動化機能を用いて、モバイルアプリケーションがレガシーなWebアプリケーションを起動し、モバイルアプリケーションに入力されたデータを自動的にレガシーなWebアプリケーションにデータをコピー&ペーストする、というスクリプトを作成。
モバイルアプリケーションの裏で自動的にレガシーなWebアプリケーションが連携する仕組をRPAで簡単に実現できました。
シチズンデベロッパーとプロフェッショナルデベロッパーの協力
モバイルアプリケーションに組み込まれた画像認識機能は、Microsoft Azureの機械学習機能である「Custom Vision」をベースにプロフェッショナルデベロッパーが開発したものでした。
これをPower Appsの新機能として搭載予定の「Microsoft Azure API Management」によってAPI経由で簡単にPower Appsへ組み込むことができました。
このように複雑な機能はプロフェッショナルデベロッパーがクラウド上で開発し、ローコード/ノーコード開発ツールを使うシチズンデベロッパーはAPI経由でそれを呼び出すという協力体制により、迅速なアプリケーション開発が実現しています。
米国トヨタはすでにPower Appsで400以上のアプリケーションを作成しているとのことです。
Microsoft Ignite 2020
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