Oracle Database 21c正式版が登場。データベース内でJavaScript実行可能、改ざんできないブロックチェーンテーブルなど新機能
米オラクルは、最新のデータベースソフトウェアとなる「Oracle Database 21c」正式版を発表しました。
Oracle Databaseのバージョン番号は、2017年に発表された「Oracle Database 18c」から西暦を基にしたバージョン番号となりました。つまり今回発表された「Oracle Database 21c」の21は来年2021年の21から、cはクラウドのcから取られています。
オラクルはOracle Databaseにおいて、マルチデータモデルへの対応やマルチテナントへの対応など、さまざまな機能を集約したコンバージドデータベース(Converged Database)と呼ばれる方針で開発を進めています。
すでにOLTPはもちろん、カラム型データベースによるOLAP処理、JSONデータやXMLデータ、スペイシャルデータ、グラフ型データ対応など多くの機能がOracle Databaseに組み込まれています。
データベース内でJavaScriptを実行可能に
Oracle Database 21cでは、データベース内でJavaScriptのコードスニペットが実行できるようになりました。JavaScriptからPL/SQLやSQLの実行も可能となっています。
データベースのデータ型とJavaScriptのデータ型はデータベース内で自動的にマッピングされるため、データベース内のデータを参照しつつJavaScriptで計算を行う、といった処理などが記述できます。
ブロックチェーンテーブル
ブロックチェーンテーブルは、ブロックチェーンの技術をテーブルに応用したものです。
一般にブロックチェーンは、データがチェーンのようにどんどん追加されていく構造となっています。そして、データが追加されるときに、チェーンそのものに改ざんがないことを保証するためのハッシュの計算が行われます。
ブロックチェーンテーブルも同様に、基本的に追加しか行われず、つねに改ざんがないことを保証するためのハッシュの計算が行われます。これにより、データをあとから変更することも削除することもできない、データ改ざんに対して強靱なテーブルを実現しています。
ネイティブなJSONデータ型への対応
これまでもOracle DatabaseでJSONデータは扱えていましたが、JSONデータの格納にはVARCHAR2もしくはLOBが用いられていました。
今回ネイティブなJSONデータ型が扱えるようになったことで、JSONデータ型に対する読み込みや更新で少なくとも4倍から5倍程度、大きなデータでは20倍から30倍程度の速度向上が見込めるとのことです。
インメモリ機能の拡張
Database In-Memory Vector Joins
インメモリのカラムストアにおいてハッシュジョインをSIMDに最適化するなどにより、従来より約10倍程度の性能向上を実現しました。
Self Managing In-Memory Column Store
これまである程度マニュアルで指定しなければならなかったカラムのインメモリ指定を、すべて自動データベースに任せられるようになります。
In-Memory Hybrid Columnar Scans
カラムスキャンの処理において、メモリ容量の制限などですべてのデータがメモリ上に存在しなかった場合、カラムスキャンはキャンセルされて通常の行指向テーブルに対するスキャンとなり処理に時間がかかっていたのを、カラムスキャンと行指向テーブルへのスキャンの両立を可能とすることで処理速度の向上を実現しています。
Oracle Database 21cでは、そのほか多くの機能が搭載されています。
Oracle Database 21cは、Oracle CloudのDatabase Service Virtual MachineもしくはBare Metal Serviceで利用可能になっています。
さらに無料でOracle Cloud上のAutonomous Databaseを利用できるAutonomous Database Free Tier Serviceでは、 アッシュバーン(IAD)、フェニックス(PHX)、フランクフルト(FRA)、ロンドン(LHR)の各リージョンで利用可能。
オンプレミス用のOracle Database 21c(Linux版、Windows版、Exadata版)は2021年にリリース予定です。
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