NFCタグをWebアプリで読み書きできる「Web NFC」、Chrome 81ベータで実装開始
Googleは現在開発中のChrome 81ベータ版に、Web NFCの機能を試験的に組み込んだことを明らかにしました。
Web NFCは、WebアプリケーションからNFC(Near Field Communication:近距離無線通信規格)タグの読み書きを行うための仕様および機能です。NFCに対応したICタグとデバイスを数センチの距離に近づけると非接触で通信ができます。
スマートフォンの多くにはすでにNFCリーダー/ライターの機能が備わっているため、Web NFCの機能を組み込んだWebブラウザを利用することでアプリケーションからスマートフォンのNFC機能を利用可能です。
ただし現時点でのWeb NFCの対応範囲はNDEF(NFC Data Exchange Format)と呼ばれる軽量なメッセージ交換までで、ISO-DEP、NFC-A/B、NFC-F、HCEなどへの対応はスコープ外とされています。そのためユースケースはある程度絞り込まれます。
Web NFCのユースケースとしてGoogleは、スマートフォンを用いた在庫管理やイベントでの名札にNFCタグを埋め込んだ入場管理、博物館の入場者が作品の情報をNFCタグを読み込んで参照する、などを紹介しています。
下記の動画はGoogleがスマートフォンを使ってWeb NFC経由でICタグを読み取っているところ。
Web NFCはChrome 81ベータで「Origin Trials」として利用可能になります。Origin Trialsとは、あらかじめその機能を使うことを登録した開発者にのみ、機能を解放する仕組み。一定期間が過ぎると自動的にその機能は使えなくなります。
Web NFCのOrigin TrialsはChrome 81から83の期間、2020年7月29日までの予定です。
かつてWebブラウザでの試験的な機能の実装は、ベンダプレフィクスを用いることで利用可能にしていました。しかしその機能がやがて標準となり正式版として実装されても、ベンダプレフィックスによるベンダ依存の表記がいつまでもWebアプリケーションなどに残り続けてしまうという負の側面がベンダプレフィクスにはありました。
Origin Trialsはこれを反省し、利用に期限を設けることで実験的機能に依存した表記や実装がいつまでも残り続けしないようにしたものです。
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