米国防省、KubernetesをF-16ジェット戦闘機に載せてみた
Kubernetesを自動車に載せるというデンソーの発表事例を紹介した6月の記事「Kubernetesを自動車に載せる、デンソーが「Misaki」を発表。年内にもオープンソースとして公開」は多くの読者に読まれました。
このデンソーの発表の中で、(記事では省略していますが)先行事例として米国防省がKubernetesとIstioをF16ジェット戦闘機に載せたことが触れられています。
これは2019年11月にサンディエゴで行われたイベント「KubeCon+CloudNativeCon North America 2019」で行われたセッション「How the Department of Defense Moved to Kubernetes and Istio」で紹介されたものです。
セッション中では国防省がコンテナとKubernetesを基盤にCI/CDに取り組んでいること、MVP(Minimum Viable Product)としてF-16ジェット戦闘機にKubernetesを載せる試みについても触れられています。
セッションがYouTubeで公開されていますので、ポイントをまとめてみました。
45日でF-16ジェット戦闘機にKubernetesを載せるチャレンジ
- 国防省のシステム開発のほとんどはまだウォーターフォール型で行われており、ソフトウェアのデリバリは3年から10年ほどの期間がかかっている
- しかし、より迅速なソフトウェア開発が求められている。そのためにソフトウェアのイノベーションを進めている
- ソフトウェアスタック全体でオープンソースを採用し、KubernetesとOCI準拠のコンテナを採用する
- その理由は、プラットフォームの抽象化とベンダロックインの回避、そして迅速なプロトタイピングの実現のため
- サービスメッシュのIstioをゼロトラストスタックを実現するために使用
- Cloud Oneチームがインフラ構築を担当、Platform Oneチームはすべてをコンテナ化し、CI/CDを実現する
- マイクロサービス化によってアプリケーションを小さく分解でき、F-15、F-16、F-22、F-35など異なる機種間でコードを再利用しやすくなる。
- F-16ジェット戦闘機のシミュレータを作成し、そこでSonicKube(ソニックキューブ)と名付けられたチームは45日でF-16ジェット戦闘機にKubernetesを載せるチャレンジを実施
- 新機能のデリバリスピード向上と拡大、モダンな開発プラクティスの実現などが目的
- F16ジェット戦闘機のハードウェアに変更を加えず、45日間でKubernetesとIstioを載せることができた
- これで戦闘機にAI機能など柔軟なコンテナのデプロイが容易になり、しかもソフトウェアのクラッシュといった障害からの回復性もKubernetesで実現する
- クラウドで開発、多くの自動化テストの後に実機で最終テストのみ行うことができるようになったため、実機がなくとも開発が進められるようになる。
- もしもKubernetesが兵器群において十分なものであるとしたら、あなたのビジネスにおいてもまちがいなく十分なものだろう。
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