GitLabもイランからのアクセスを制限。米国の対イラン経済制裁に従い「われわれが決めたことではない」

2020年10月27日

2019年7月、GitHubはプライベートリポジトリに対するイランからのアクセスを制限しました(ただしパブリックリポジトリへのアクセスは可能)。

これはイランに対して厳しい態度を示してきたトランプ政権が、2015年に欧米諸国とイランが結んだ「イラン核合意」から2018年5月に離脱。それを契機にイラン産原油の輸入禁止をはじめとした経済制裁を強めたことが背景にあります。

ただしGitHubがこの制限をした時点ではまだ、GitLabはイランからのアクセスを制限していませんでした。

しかし今月に入って状況が変わりました。2020年10月、GitLabも米国政府の方針に従いイランなど数カ国からのアクセスを制限したことが明らかになりました。

オープンソースのプログラマと名乗るAhmad Haghighi氏は、イランからGitLabへのアクセスが予告なく遮断され、アカウントもブロックされてしまったとツイートで訴えました。

GitLabはこのツイートに対して「In accordance with the guidance provided by the U.S. government, and not determined by GitLab」(これは米国政府が示すガイダンスに従ったためであり、GitLabが決めたことではありません)と返答しこの事実を認め、あくまで米国政府の決定に従ったためだと釈明しました。

GitLabのドキュメントによると制限の対象になっているのは、イラン、キューバ、北朝鮮、スーダン、シリア、ウクライナのクリミア地方。

米国政府の指示によって特定の国からのアクセスを制限しているのはGitHubやGitLabだけではありません。大手ではアドビも2019年10月にベネズエラの全アカウントを無効にすると発表しています。

また、コンシューマ向けサービスですが、最近では米国政府が国内でのTikTokの利用禁止を検討していることも記憶に新しいところでしょう。

パッケージソフトウェアを販売するのとは違い、クラウドサービスの提供は、サービスの提供元がいつでも一方的かつ容易に利用者の権利を制限できます。それに利用者が対抗できることはほとんどありません。

日本は米国の同盟国であり、米国のサービスがある日突然使えなくなるというリスクは現時点で考えにくいことです。とはいえ国境を越えて外国のクラウドサービスを利用する場合、相手国の都合によっていつでも予告なく何らかの影響を受ける可能性がある、ということは念頭においておくべきではないでしょうか。

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