FastlyがHTTP/3とQUICのサポートを発表

2020年5月11日

CDNプロバイダーのFastlyは、HTTP/3とQUICのサポートを発表しました

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HTTP/3は、HTTPの次のバージョンとしてIETF(Internet Engineering Task Force)が標準化を進めています。これまでのHTTPとの最大の違いは、トランスポートプロトコルとしてQUICを採用し、それに最適化することで、より高速で効率的な通信を実現するところです。

それにより、いまよりも高速なWebページの表示や高速に実行できるWebアプリケーションなどが期待できます。

HTTP/3は新たなトランスポートのQUICを利用

現在使われているHTTP/2 やHTTP/1.1などでは、トランスポートプロトコルとしてTCP(Transmission Control Protocol)が使われています。

TCPは内部で輻輳制御や再送などを自動的に行うことで通信が確実に行われることを保証してくれる便利なプロトコルですが、オーバーヘッドが大きく、確実に通信が行われるまで待つ必要がある、といった側面があります。

そこで、HTTPにとってより効率的なトランスポートプロトコルとして、TCPの代わりにリアルタイム性を重視したプロトコルであるUDP(User Datagram Protocol)をベースにした「QUIC」の標準化が進められています。QUICは、暗号化通信のために高速なハンドシェイクを行うTLS 1.3も含んでいます。

HTTP/3は基本的にはHTTP/2をベースにQUICに最適化されたプロトコルとして標準化が進んでいます。そのため、HTTP/3のサポートは自動的にQUICのサポートを意味します。ただし、QUICはHTTP/3専用のトランスポートではないため、今後はHTTP/3以外にもQUICを用いた上位プロトコルが登場することでしょう。

FastlyのDistinguished EngineerであるJana Iyengar氏は、Fastlyのブログに投稿した記事「Why Fastly loves QUIC and HTTP/3」(なぜFastlyはQUICとHTTP/3を愛するか)で、次のように説明しています。

Which is why we’re thrilled to be so invested in QUIC, a new transport protocol for the internet that is more responsive, secure, and flexible than what the internet uses today.

これこそ私たちがこれほどまでにQUICへ投資している理由だ。この新しいインターネットのためのトランスポートプロトコルは、いま使われているものよりもよりレスポンシブでセキュアで柔軟なのだ。

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次の記事では、QUICの実装についてFastlyの奥氏らの検証内容を紹介しています。

2021年5月、QUICがRFC 9000としてインターネット標準となりました。

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